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  • 2021.12.28
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実車レース同様のアプローチが強さの秘訣#280 ニワカレーシング【チームインタビュー】

 

シーズン中、終始安定した結果を残して、JEGT団体戦2021Seriesで堂々のポイントランキングトップを獲得した#280 ニワカレーシング。チームを率いる太⽥ 寛監督をはじめ、団体戦に参戦したメンバーに本音を聞いた。

#280 ニワカレーシングは、チーム方針の内容や、オフラインでの練習など、実車同様のアプローチでレースに臨んでいる。

また、和やかな雰囲気ながら、言葉の1つ1つに芯があり、今後のeモータースポーツ界を背負うという、チームとしての意気込みが伝わってきた。

 

 

■グランドファイナルへの出場はチーム方針のおかげ

団体戦 Rd.2 優勝の瞬間

 

#280 ニワカレーシングにグランドファイナル出場を果たした理由を聞くと、全員に共通した答えはチーム方針。強さを生み出したチーム方針と、マシン選びについて語ってもらった。

また、マシン選びについては、レース戦略だけではなく、事業としての戦略もあったようだ。eモータースポーツがプロスポーツとして成立ちつつあることも感じられた。

 

――Q.みなさんが考えるグランドファイナル出場を決めた要因は?

 

堤口選手(以下堤口):チームの方針として、まずはペナルティをもらわないように注意し、練習してきたことです。結果的に1、2度のペナルティはあったものの、全体としてみると、1戦目から着実にポイントを重ねて、ここまでの成績を残せました。

 

荒木コーチ(以下荒木):ドライバーのみんなには、常に焦らずに行こうぜと言ってきました。その結果ですかね。決勝(グラインドファイナル)も無理をせずにいって欲しいと思っています。

 

古屋選手(以下古屋):荒木「監督」から・・・

 

荒木:監督?(笑)

 

全員:(笑)

 

古屋:すみません。荒木「コーチ」です(笑)コーチから、ラウンドごとにまずは予選突破をしようと言われて、それを目標に走りました。ペナルティをもらわず、いかに安定して決勝まで持っていけるかというところでした。井芹選手、堤口選手という仲間のおかげで、1位でグランドファイナル進出を決められたと思っています。

 

井芹選手(以下井芹):始まる前にメンバーリストを見た時点では、他チームに比べて実力的に劣っているなと正直感じていました。でも、ペナルティをもらわないという方針も含めて、レースでの安定感がありいいチームができたと思っています。1位という結果は、みんなのおかげです。自分としても満足していますし、とても感謝しています。

 

荒木:なんか、もう終わりみたいなこと言ってない?(笑)

 

井芹:世界大会経験者として、周囲の目や一般プレイヤーからの期待から、緊張とプレッシャーを感じて怖い部分もありました。でも、チーム一丸となって頑張れたので、1位という結果がついてきたのかなと思っています。

 

太田監督(以下太田):勝てた要因は、チームとして掲げたペナルティを取られないという方針が守れたことです。JEGTはペナルティが厳しいので、チーム方針として、ペナルティを取られないことを掲げました。どれだけ有利に進めていても、ペナルティを取られると、タイム加算やタイム抹消で順位が下がってしまいます。とにかくこの点は注意するように、練習から徹底しました。

チームメンバーとしては、昨シーズンのドラフトで早い指名順が取れ、ぜひ欲しかった井芹選手を獲得できてよかったです。2年目の今シーズンになってチームにも馴染んでもらって、チームとして前に進めたと思います。

そして、個人的に大きかったと思うのは、第2ラウンドです。古谷選手が出場できず、急遽荒木コーチに助っ人として出てもらうというピンチだったのですが、荒木コーチが頑張ってくれ、結果的に大きなポイントが獲得できました。

 

――Q.今シーズンGRスープラを選んだ理由は?

 

太田:これは荒木コーチ。

 

荒木:(笑)一発が速いのが理由です。あとは、事前にコースが決まっているので、コースでのパフォーマンスも考慮しました。アストンマーチンも迷いましたが、グランドファイナルのスパ・フランコルシャンでのレースを考えたらスープラが一番いいかなと。最終的に決めるのは太田監督で、監督からは、日本車にしてほしいという要望がありました。

 

堤口:スープラがいいという荒木コーチの言葉と太田監督を信じました(笑)

 

――Q.日本車にしてほしいというのは何か理由があったのですか?

 

太田:実は事業戦略的な事情もあったんです。自動車メーカーとの直接のつながりもなく、スポンサーからオーダーがあったわけではないのですが、今後のスポンサーさんとの関係を考えて国産車を意識的に選びました。

 

 

■各自がプレッシャーを楽しむのも強さの秘訣

団体戦 Rd.1 チームラジオの様子(ニワカゲームス YouTubeチャンネルより抜粋)

 

eモータースポーツでの団体戦は、JEGTが唯一の存在。初年度から参加している#280 ニワカレーシングは、チームのサポート体制も万全だ。また、プレッシャーを感じつつ、チームのためにという各選手の言葉からチームとしての成熟も感じた。

 

――Q.eモータースポーツ参戦を決めた理由を教えてください

 

太田:2019年の茨城国体でeスポーツが脚光を浴びたタイミングで、グランツーリスモで参戦しようと決めました。もともとニワカゲームス(ニワカレーシングの母体)は、チームといっても、ただのコミュニティだったんです。チームとして参戦する場はなかったところに、ちょうど2020年からJEGTがチーム戦を始めるということで、参戦を決めました。現状、eモータースポーツにチームとして参戦できるのはJEGTが唯一だと思います。

 

――Q.団体戦と個人戦の違いや勝つために大切なポイントを教えてください

 

古屋:個人戦は一人なので気楽にレースができますが、チーム戦は複数人で協力してポイントを稼ぐのでミスができません。自分のミスがチームとしてのその後の戦いに影響してしまいます。割り振られた役割の中で、いかに協力して走るかというところですかね。

 

井芹:ラウンドごとに予選を突破することが肝であるという点は、個人戦とチーム戦の共通点なので、その点は個人戦と同じ意識でした。ただ、個人戦は練習、レース問わず淡々としていて単調になりがちです。チーム戦はレースに応じて状況の変化があり、レースをしている感がモチベーションにもつながっています。

 

堤口:団体戦は、メンタルコントロールを勉強できる場でもあります。あとは、レース中にチーム内で話しているのも個人戦との大きな違いです。気楽な展開のときは雑談なんかもしてました(笑)

 

太田:チームのサポート体制としては、実はリアルのレーシングチームと同様の体制です。ドライバーマネージャーやデータエンジニアがいて、レースをしながら状況に応じて戦略を練っています。ドライバーが運転に集中できる環境を作るのが勝つために大切なポイントだと思って、体制を作りました。ニワカレーシングのYouTubeでは、チームラジオなどでやり取りも公開していますよ。

 

――Q.普段オフラインで練習やコミュニケーションはある?

太田:集まれる人間はニワカラボで集まって練習をしています。もともとコミュニティが前身なので、チームメンバー以外の人も情報交換をしながら一緒に練習しますね。人の運転を見ながら練習し、その場で話をしながら、細かいところも確認するのが一番かなと。

 

荒木:オンラインではタイムラグがあって、実際どんな動きをしているのかが掴みづらいのでオフラインでの練習を大切にしています。オフラインで、実際に手元や足の動きを見るようにしています。

 

■eモータースポーツ黎明期だからこそ楽しみ

団体戦 Rd.1 決勝レース 第二レース

 

――Q.JEGTの見どころは?

 

荒木:世界レベルの選手が多いことと、実車のレースと変わらないチーム戦の戦略が見どころです。あとは、バトルシーンや、音などもリアルに近いので注目してください。

 

太田:JEGTに限らず、eモータースポーツ自体の見どころでもありますが、選手個人個人のキャラクターがより見えるようになってきたことで、ゲームではありつつよりリアルとの融合ができてきていると感じています。

JEGTというところだと、チームを見て欲しいですね。あと、毎回中継もちゃんと演出されていて、見る人に楽しんでもらう仕組みができていると感じています。JEGTだけではないのですが、eモータースポーツの発展の過程も楽しんでもらえるかなと。

 

――Q.これからeモータースポーツ始めようとしている方、興味がある方、もしくは今頑張っている方々に一言

 

堤口:黎明期なので、まずは今活躍している各選手を追って欲しいです。リアルなレースシーンもEV車に変わりつつある時代なので、eモータースポーツも含めてテクノロジーという意味でも楽しんでもらえれば。でも、とにかくレースを楽しんでもらいたいですね。

 

古屋:僕は昔から車が好きで、カートをやりたかったんですけど、残念ながら実現しませんでした。でも、僕はその夢をeモータースポーツで叶えられました。実際に走りたくても走れない人や、気軽にやってみようなど、目的はさまざまだと思いますが、まずは楽しむということを第一にして欲しいですね。

 

井芹:一般的なeスポーツに比べ、グランツーリスモsportは年齢関係なく活躍できる競技です。若い子から上の年齢まで、幅広い年齢の方に可能性があるので、高い目標でも頑張れば達成できると思います。

 

■とにかく楽しむことを大切にグランドファイナルに臨む

団体戦 Rd.2 優勝チームインタビュー(左から、堤口選手・荒木選手・井芹選手)

 

最後に、グランドファイナルへの意気込みを聞いた。緊張感をもって臨んだシーズン中とは打って変わって、とにかくイベントを楽しみたいという言葉が随所に出てきたのが印象的だ。

 

――Q.グランドファイナルに向けての意気込み

 

堤口:トップ通過なので、ほどよい緊張感を持ちつつも気楽にいきたいです。オフライン開催なので、ドラマも生まれるでしょうし、楽しみたいと思っています。

 

古屋:1位通過で進出できたものの、2位3位は僅差なので油断できません。残り1ヶ月で何ができるかを考えて備えたいです。オフライン開催なので緊張しないように、仲間同士で話しながら気分を盛り上げて臨みます。

 

井芹:チームが楽しければ良いなと思っています。

 

荒木:適当だなぁ(笑)

 

井芹:久しぶりのオフラインなので、交流が増えることもあり楽しみです。楽しむことが大事なので、結果に執着する必要はないかなと思っています。楽しめば結果は付いてくるかなと。

 

荒木:グランドファイナルだからといって緊張しすぎず、いつも通り走って欲しいですね。楽しんで、自分たちのペースで走ってくれればと思っています。

 

太田:チームを運営する立場としては、優勝を目指したいと思っていますが、メンタルが大切なので経験の差が出ると思います。まずはイベントとして楽しんでもらい、ようやくオフラインの場にチームとして出られるので、一般の方にチームを認識してもらいたいと思っています。とはいえ、不確定要素も多いと思うので、サポート体制も含めて総合力で勝負します。

 

 

■実車レースと変わらない姿勢が印象的

 

eモータースポーツは、接触やコースアウトをしても、実車のようにマシンがダメージを負うことはないし、ましてや怪我人が出ることもない。その分JEGTでは、接触やコースオフなどのペナルティを厳しく取ることで実車同様の緊張感を生み出している。

#280 ニワカレーシングの掲げていたチーム方針の「ペナルティを取られない」というのは、実車のレースであれば車を壊さないという、当然どのドライバーも注意していることだ。チーム体制も含め、全員が実車レースに臨むのと変わらない姿勢で臨んでいることが、#280 ニワカレーシングの本当の強さの秘訣かもしれない。

実際のインタビュー時間は、実に1時間以上に及び、真摯な対応からは、各自がもっとeモータースポーツを発展させたいという想いが伝わってくる。

楽しむことが一番としつつ、虎視眈々と闘志を燃やす#280 ニワカレーシングが出場するグラインドファイナルは、いよいよ2022年1月15日(土)に、日本最大級の自動車イベント「東京オートサロン2022」の公式イベントとして開催される。

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