RACE REPORT
レースレポート
2025年10月4日(土)に、JEGT2025シリーズ チャレンジリーグRd.2が開催された。
Rd.1を終えた時点で新規参入2チームが同ポイントで1位となるなか、既存チームの巻き返しはあるのか、初戦で不本意な結果に終わった#6 ZETA DIVISIONはどんな走りをするかなど、多くのファンが注目。
グランツーリスモにも古くから収録されていて、個性的なサーキットとして世界的にも有名なウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカを舞台に繰り広げられたレースの模様をたっぷりとお届けしよう。
チャレンジリーグは、合計3ラウンドで争われる。
ちょうど中間地点にあたるRd.2は、シーズンの行方を占う山場といえるだろう。
Rd.2の舞台として選ばれたのは、グランツーリスモシリーズにリアルサーキットとして初めて収録されたウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカ。
先日、世界累計販売数が1億本を突破したと発表した矢先に、記念すべきコースを舞台に選んだというのもタイムリーだ。
まずは、コースの特徴とレギュレーションをみていこう。
ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカは、アメリカ・カリフォルニア州北部に位置する実在するサーキット。
全体に中・低速コーナーが散りばめられたテクニカルコースで、さらにもとの地形を活かした高低差のあるレイアウトも大きな特徴だ。
特に、コークスクリューと呼ばれるシケインは、15mほどの高さから一気に下る名物コーナーであり、大きな難所ともいえる。
ライン取りを間違えると、続く高速コーナーでの速度が足りなくなるばかりか、スピンやコースアウトをしやすいスリリングな箇所だ。
また、コークスクリュー以外のコーナーもクセのあるものが多く道幅も狭いため、繊細なアクセルワークとステアリング捌きが要求される。
| 使用コース | ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカ |
| 周回数 | 2周(ハイパースプリント)、6周(コンソレーション)、14周(決勝) |
| 使用タイヤ | レーシングハード(ハイパースプリント)、レーシングミディアム(コンソレーション)、レーシングハード/ソフト(決勝・どちらも使用義務あり) |
| タイヤ摩耗 | 30倍(ハイパースプリント)、7倍(コンソレーション)、6倍(決勝) |
| 燃料消費 | 1倍(ハイパースプリント)、3倍(コンソレーション)、3倍(決勝) |
予選、決勝レースともに、#6 ZETA DIVISIONがライバルを寄せ付けない走りをみせた。
一方で、なかなかレースで結果を残せていなかったGT-R勢の活躍があったのも、見逃せないポイントだ。
中継にはなかった予選スーパーラップも含めて、レース全セッションを振り返ってみよう。
予選スーパーラップは、惜しくも決勝進出を逃した11番手の丸山 勇人選手(#802 遠州ハママツモータース)までが約1秒差という大混戦だった。
そのなかでもまず注目を集めたのが、大根 祐哉選手(#315 Funlap Sports)と植木 俊輔選手(#35 NISSAN × TRUST RACING)だ。
いずれのチームもRd.1終了時点で9番手(同ポイント)だったが、大根選手がアタック終了時点でトップタイムをマークすると、植木選手もコンマ1秒差に迫る2番手タイムを記録。
日産 GT-R ニスモ GT3‘18が強いとされるラグナ・セカで、マシンの性能とドライバーの実力を発揮した。
そして、さらに注目を集めたのが、12番目にアタックをした鈴木 聖弥選手(#6 ZETA DIVISION)だ。
セクター記録を次々と塗り替える走りで、大混戦にも関わらずトップタイムを0.3秒近く更新。
結局、ポールポジションを獲得したのは鈴木選手(#6 ZETA DIVISION)、フロントロー2番手には大根選手(#315 Funlap Sports)が続いた。
3番手表彰台圏内からのスタートは、植木選手(#35 NISSAN × TRUST RACING)が掴んだ。
予選スーパーラップ2~15位のチームの上位側と下位側のマッチアップし、勝者に5ポイントを付与。
なお、予選スーパーラップ1位のチームは出走が免除され、自動的に5ポイントが付与される。
辻 竜彦選手(#28 姫璽城 VIRTUÀLE)
vs
大野 有希選手(#72 Connect to the Future)
大野選手が、辻選手を後ろから追いかける展開。
1コーナーやコークスクリュー、最終コーナーなどでブレーキングで距離を詰めるものの、オーバーテイクには至らず。
結局、辻選手が、最後までポジションを守りきって勝利。
大田 夏輝選手(#101 REIGNITE)
vs
佐藤 魁翔選手(#809 Team desiLab. eMS)
スタート直後の1コーナーで大田選手の背後につけた佐藤選手は、オーバーテイクの機会をうかがう。
そして迎えた5コーナー、ブレーキング勝負でイン側に並ぶと、そのまま一気に前に出る。
そのままポジションを守りきった佐藤選手が、後方スタートから逆転勝利を収めた。
山村 昂佑選手(#71 DRPP)
vs
中村 和希選手(#193 広島 TEAM iXA)
第3レースは、スタート直後から接近戦になった。
1コーナーのブレーキングで山村選手が一気に差を詰めると、そのままテールトゥノーズの展開。
しかし、ファイナルラップの1コーナー飛び込みでスリップストリームを利用してアウト側から並ぶも、オーバーテイクには至らず。
結局、スタートから見事なブロックラインでポジションを守りきった山村選手が勝利。
菊地 晃輔選手(#802 遠州ハママツモータース)
vs
山本 歩翔選手(#11 KOSHIDO RACING Ⅺ)
スタートから菊地選手が、ハイペースでトップを快走。
何としても追いつきたい山本選手だったが、一定の間隔のままその差は詰まらない。
終始安定した走りで、山本選手を寄せ付けなかった菊地選手がそのまま勝ちきった。
清水 裕生選手(#465 465Garage)
vs
鈴木 颯真選手(#195 VERSUS e-motorsports team)
一定間隔で追いかける鈴木選手がプレッシャーをかけるものの、清水選手はスタートからペースを維持。
最後まで接近を許さなかった清水選手が、着実なレース運びでポールトゥウィンを飾った。
上野 柊斗選手(#35 NISSAN × TRUST RACING)
vs
井沖 輝選手(#777 ZIMA RACERS)
先行の上野選手に対して、後方スタートの井沖選手はなかなか差を詰められない。
一定以上にその差は広がることはないものの、レースは膠着状態。
最後までペースを崩さなかった上野選手が、確実に勝利を掴んだ。
村井 優介選手(#315 Funlap Sports)
vs
藤田 龍馬選手(#88 GracesBlaze)
村井選手に追いつきたい藤田選手は、オープニングラップ5コーナーのブレーキングで一気に差を縮めようと試みる。
しかし、突っ込み過ぎてしまい、かえって差が広がってしまう。
その後は村井選手が堅実な走りをみせ、トップチェッカー。
わずか6周のスプリントレースだけあって、オープニングラップから激しいポジション争いがみられた。
5コーナーの進入では、2番手をいく松坂 康永選手(#193 広島 TEAM iXA)のイン側に中川 朝陽選手(#195 VERSUS e-motorsports team)がノーズをねじ込んでオーバーテイク。
さらに続く6コーナーでは、阿舎利 謙吾選手(#88 GracesBlaze)が3番手にポジションアップを果たした。
3ラップ目に入ると、中川選手がトップを走る海老塚 由記選手(#802 遠州ハママツモータース)に追いつく。
しかし、テールトゥノーズでチャンスをうかがうも、オーバーテイクには至らず。
最終的に、海老塚選手(#802 遠州ハママツモータース)がトップチェッカーを受けた。
再三仕掛けるもわずかに届かなかった、中川選手(#195 VERSUS e-motorsports team)が2位。
3位には、阿舎利選手(#88 GracesBlaze)が入った。
スタートでのタイヤ選択が注目されるなか、宮園 拓真選手(#6 ZETA DIVISION)、池内 比悠選手(#35 NISSAN × TRUST RACING)、鋤柄 諒弥選手(#28 姫璽城 VIRTUÀLE)がソフトタイヤを選択。
オープニングラップでは、ソフトタイヤでスタートした池内選手が寺川 和利選手(#315 Funlap Sports)のオーバーテイクに成功して2番手に浮上した。
2ラップ目に突入すると、3番手争いが激しくなる。
1コーナー飛び込みで、橋間 隼選手(#101 REIGNITE)、寺川選手、鋤柄 諒弥選手(#28 姫璽城 VIRTUÀLE)が3ワイドで並ぶ。
アウト側を警戒した寺川選手の一瞬の隙を見逃さず、イン側から橋間選手が前に出た。
一方、ポールスタートの宮園選手とオープニングラップで2番手にあがった池内選手は、それぞれ単独走行で後続との差を大きく広げる。
レース終盤に入ると、ハードタイヤにスイッチした2番手の池内選手に対し、ソフトタイヤの橋間選手、石野 弘貴選手(#465 465Garage)、鎌田 智暉選手(#71 DRPP)らが迫る。
しかし、池内選手の見事なブロックラインによって、なかなか前に出られない。
そして13ラップ目、後続ソフトタイヤ勢の追い上げをなんとか抑え込んでいた池内選手だったが、ついに力尽きる。
5コーナー出口で鎌田選手、石野選手に並ばれてスリーワイドになると、イン側にポジションを取っていた鎌田選手が抜け出して2番手に浮上。
さらに不運なレーシングアクシデントで、池内選手はコースアウトを喫してしまう。
レースは、ポジション争いとは無縁の圧倒的な速さをみせた、宮園選手(#6 ZETA DIVISION)が危なげなくポールトゥウィン。
2位は鎌田選手(#71 DRPP)、3位には大きくポジションを失う場面もあった橋間選手(#101 REIGNITE)が入った。
ファンの大きな期待を背負いながら、Rd.1では不本意な結果に終わった#6 ZETA DIVISION。
しかし、Rd.2では予選スーパーラップ、決勝ともにトップを譲らず、完全勝利という形で初勝利を飾った。
実に33ptものポイントを積み上げ、シリーズランキングもトップに急浮上。
Rd.3に向けて、有利な位置につけたといえるだろう。
一方、上位3枠が入れ替え戦への出場権を獲得するという点では、現状下位のチームにも十分チャンスの残る状況だ。
過去2戦とも優勝チームが異なっているという結果を考えると、Rd.3も何が起こるかわからない。
予選、スーパーラップ、決勝レースで着実にポイントを重ねることができれば、3位以内に食い込める可能性は大いにある。
入れ替え戦への出場権をかけた熱い戦いは、2025年11月29日(土)の最終戦(Rd.3)に決する。
Rd.2で前評判通りの実力を発揮した#6 ZETA DIVISIONの連勝になるのか、新たな優勝チームが生まれるのか、Rd.3は絶対に見逃せない。
Text: 渡邉 篤
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