RACE REPORT
レースレポート
9月に引き続いてRd.2が開催された、JEGT2025シリーズ企業対抗戦。
手に汗握るグランプリシリーズやチャレンジリーグとはまた違ったeMSの魅力を感じるリーグ戦として、JEGTファンのみならず注目され始めている。
しかも、今シーズンは最終戦がオフラインレースで予定されているため、参加選手のモチベーションも例年以上だ。
JEGT認定ドライバー以外の選手も躍動した、企業対抗戦Rd.2の模様をお届けしよう。
JEGT2025シリーズは、例年と大きく違う点がある。
最終戦Rd.4が、グランプリシリーズが行われるオフライン会場で同時開催されるのだ。
参加全18チームは、現在のフォーマットに変更されて初めてのリアル開催を目指して戦う。
一方で、ただの競争ではなくeMSの「楽しさを味わってほしい」「視聴者に魅力を伝えたい」という企業対抗戦本来の趣旨もレギュレーションにしっかりと盛り込まれている。
予選グループ別に違うコースを使用、コンソレーションレースはテクニックを要求しないガチンコバトルと見どころ満載だ。
Rd.2のレギュレーションと、オフラインとなる最終戦への出場条件を確認していこう。
参加企業の福利厚生やチームビルディングのために開催してきた企業対抗戦は、基本的にはレースを走って順位を競うだけだった。
しかし、JEGT2025シリーズの企業対抗戦では、シリーズランキング上位10チームにオフラインで開催されるラウンドファイナルへの出場権が与えられる。
毎年多くのファンを迎えて盛り上がるグランプリシリーズの大舞台で、思う存分レースを楽しめるのは大きなモチベーションになっているだろう。
JEGT認定ドライバーではない社員ドライバーの方にとっては、最高の環境でプレイをするまたとないチャンスだ。
| 使用コース | デイトナ・ロードコース |
| 周回数 | 5周 |
| 使用タイヤ | レーシングソフト |
| スリップストリーム | リアル |
| タイヤ摩耗 | 3倍 |
| 燃料消費 | 3倍 |
| 使用コース | ディープフォレスト・レースウェイ |
| 周回数 | 5周 |
| 使用タイヤ | レーシングソフト |
| スリップストリーム | リアル |
| タイヤ摩耗 | 5倍 |
| 燃料消費 | 3倍 |
| 使用コース | デイトナ・トライオーバル |
| 周回数 | 5周 |
| 使用タイヤ | レーシングハード |
| スリップストリーム | 強い |
| タイヤ摩耗 | 10倍 |
| 燃料消費 | 1倍 |
| 使用コース | デイトナ・ロードコース |
| 周回数 | 11周 |
| 使用タイヤ | レーシングミディアム/ソフト(どちらも使用義務あり) |
| スリップストリーム | リアル |
| タイヤ摩耗 | 4倍 |
| 燃料消費 | 3倍 |
企業対抗戦のRd.2は、結果だけをみれば#33 NTT DOCOMO BUSINESS ENGINEERINGの圧勝。
しかし、予選スーパーラップやコンソレーションレースも含めて、随所にドラマが生まれた見ごたえのあるレースだった。
決勝レースではスペシャルアドバイザーであり実況の山中 智瑛氏が絶叫してしまうほど、見ている人すべてを興奮に巻き込んだ全セッションをレポートしよう。
グループAの予選スーパーラップは、#200 日本海間瀬サーキットwithニノンeMsの藤 奈々樹選手が注目を集めた。
弱冠12歳ながら、2番手に0.260秒もの差をつける1分46秒081でポールポジションを獲得。
実績十分な選手ではあるものの、JEGT認定ドライバーも参加していたスーパーラップで結果を残せる度胸には驚かされた。
2番手には島地 虹成選手(#18 IBARAKI TOYOPET e-NE)、3番手は下里 重斗選手(#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA)。
グループBでは、川村 壮人選手(#33 NTT DOCOMO BUSINESS ENGINEERING)が結果的に完全優勝につながる見事な走りでポールポジションを獲得。
2番手タイムを記録したのは、堀 秀任選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)だった。
橋本 理選手(#504 WEINS CLUB TEAM TaG)が3番手に入り、好位置から決勝進出を睨む。
ポールポジションからスタートするのは、森下 結人選手(#200 日本海間瀬サーキットwithニノンeMs)。
ホールショットを森下選手が決める一方、2番手以降はスタート直後から激しいポジション争い。
まず、1コーナーで2番手スタート栗原 翼選手(#18 IBARAKI TOYOPET e-NE)のオーバーテイクを狙う3番手スタートの岡村 康平選手(#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA)に対し、甲斐 陽翔選手(#41 WEINS GRGarage TRESSA YOKOHAMA)がイン側から前に出る。
しかし、岡村選手も譲らず、サイドバイサイドに持ち込むと次のヘアピンで再度オーバーテイク。
2周目には、ホームストレートでスリップについた岡村選手が、前を行く栗原選手をアウトからまくって2番手浮上。
さらに岡村選手の勢いは止まらず、4周目にトップを走る森下選手からポジションを奪った。
一方、2番手に後退した森下選手も、まったくあきらめない。
ファイナルラップの最終ストレートでは、スリップストリートからサイドバイサイドに持ち込んだ。
最後までもつれたトップ争いは、わずか1000分の28秒差で岡村選手(#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA)が勝利。
最後まで粘った森下選手(#200 日本海間瀬サーキットwithニノンeMs)だったが、2位フィニッシュとなった。
グランツーリスモではおなじみのオリジナルコース「ディープフォレスト」で行われたスタートした予選グループBのレースは、静かな立ち上がり。
しかし、2周目に入ると、決勝レース進出ラインの5番手を中心にポジション争いが激しくなる。
中間の低速セクターで5番手を走行していた平井 睦輝選手(#135 Yamaha esports Boosters)が、前を行く藤田 信義選手(#350 BBS e-Ⅿotorsports)をオーバーテイク。
この間に後続も一気に差を詰め、5番手藤田選手を先頭に8番手までが数珠つなぎでバックストレートを駆け抜ける。
そして続くヘアピンへの進入で、3ワイドから尾田 結都選手(#87 HKS e-MotorSport)が抜け出して5番手に浮上。
その後も終始ポジションを入れ替えながら、熾烈な5番手争いが続いた。
レースは最後の猛追を振り切ってポジションを守った、川村選手(#33 NTT DOCOMO BUSINESS ENGINEERING)がトップチェッカー。
2番手は惜しくも届かなかった、栗原 健人選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)が入り、決勝進出ラインの5番手は、途中うまく抜け出した市井 智也選手(#104 TOYO TIRE Eモータースポーツ部)となった。
Rd.1に続き、デイトナ・トライオーバルでのアクセル全開バトルとなったコンソレーションレース。
スタート直後からトップ集団が3ワイドになるなど、前回同様エキサイティングな展開となった。
5周という短いレースながら、スリップストリームからいつでも逆転が可能なため、どのタイミングで抜け出すかという戦略が重要になる。
しかし、オープニングラップからほぼ全チームがトップを目指して、再三3ワイドになる大混戦。
2周目が終盤に差し掛かったところで勝 勇気選手(#56 MAZDA E&T METeoRACING チームB)と藤谷 龍之介選手(#350 BBS e-Ⅿotorsports)クラッシュ、2チームが事実上勝負権を失った。
激しくポジションを入れ替えながら迎えたファイナルラップ、最後は比較的長くトップを走行していた小林 優希選手(#87 HKS e-MotorSport)が逃げ切って勝利。
2位は栗原 翼選手(#18 IBARAKI TOYOPET e-NE)、3位には内田 圭祐選手(#84 TOMEI × TRUST)が入った。
上位3チームがソフトタイヤを選択してスタートをしたレースは、大きな順位変動はなくオープニングラップを終えた。
しかし、2周目に入ると、スリップストリームを利用したポジション争いが各所でみられるようになる。
上位チームでは、3周目に千原 勇人選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)が、坂田 悟郎選手(#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA)を1コーナーでパスして2番手に浮上。
1度は明け渡したポジションをゴールライン直前で奪い返した佐藤 優人選手(#33 NTT DOCOMO BUSINESS ENGINEERING)が、結果的にはポールトゥウィン。
レース序盤で見事なオーバーテイクをみせた千原選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)は、ほんのわずかの差で惜しくも2位フィニッシュ。
3位は、7番手スタートから追い上げた志賀 翔一選手(#504 WEINS CLUB TEAM TaG)が獲得した。
Rd.2で勝利した#33 NTT DOCOMO BUSINESS ENGINEERINGは、一気にシリーズランキングのトップ争いに加わった。
Rd.1、2とポイントを重ねた#55 MAZDA E&T METeoRACING チームAがトップであることに変わりはないが、その差はわずかだ。
一方、最終戦となるオフラインで大会への出場権が懸かる、10位争いにも注目したい。
Rd.2を終えて10位は#84 TOMEI × TRUSTだが、Rd.3の結果次第では今シーズン獲得ポイントのない#90 WEB OPTION RACINGまで出場の可能性は残る。
また、次はどんな仕掛けが用意されるのか、レギュレーションの設定も気になるポイント。
ランキング争いの行方とともに、eMSのさらなる魅力を感じさせてくれる楽しいレースになるはずだ。
2025年11月29日に予定されている次戦Rd.3は、見逃せない戦いになるだろう。
Text:渡邉 篤
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