RACE REPORT
レースレポート
JEGT2025シリーズもいよいよ佳境に入り、グランプリシリーズのRd.4が2025年11月29日に行われた。
Rd.4では、全チームが1対1のトーナメント形式で争うという新フォーマットを採用。
いつもとはひと味違うレースに、ファンの期待も高まる。
結果的に#1 QT DIG∞が勝利を収める形になったものの、全レースで手に汗握る展開が見られたRd.4の模様をたっぷりと紹介しよう。
これまでレースセッションの一部としてトーナメント形式を公式戦で採用したことはあったが、決勝レースとして実施されたのはRd.4が初となる。
JEGT独自フォーマットのハイパースプリントの息つく暇もないバトルを、最初から最後まで存分に楽めるはずだ。
Rd.4の見どころと、より白熱した戦いになるよう工夫されたトーナメントの詳細について紹介しよう。
長丁場のレースも見どころはたくさんあるが、実力の拮抗するグランプリシリーズでは、順位変動のない膠着状態に陥ることも少なくない。
しかし、ハイパースプリントとなると、一瞬も気の抜けないテールトゥノーズの争いが続く。
eMSだからこそ実現できるJEGT独自のフォーマットによるレースは、実車レースファンにも気に入っていただけるはずだ。
また、使用コースはレース直前に抽選で決定。(トーナメントのラウンドごと)
ギリギリで決まったコースに対しての、ドライバーの対応力も試される。
通常のレースでは、前方のグリッドからスタートしたほうが当然有利だ。
今回のハイパースプリントも、通常のレースと同様に予選順位が上位になるほど有利になるよう工夫が凝らされている。
単なるマッチバトルではなく、レース全体を通じて楽しんでもらえるだろう。
通常のトーナメント表に比べるとやや複雑になっている、予選順位での割当は以下のとおりだ。
段落冒頭のトーナメント表を合わせてご覧いただきたい。
| 予選順位 | ラウンド内容 |
| 1位・2位 | 1回戦:免除(シード) 2回戦:予選7位~10位のそれぞれの勝ち上がりと対戦 |
| 3~6位 | 1回戦:免除(シード)2回戦:3位・4位、5位・6位がそれぞれ対戦 |
| 7~10位 | 予選1回戦:7位・8位、9位・10位がそれぞれ対戦 2回戦:9位・10位の勝ち上がりが予選1位、7位・8位の勝ち上がりが予選2位とそれぞれ対戦 |
ドライバーによる実力差がそれほどないグランプリシリーズでのハイパースプリントは、全レースがどちらに転んでもおかしくない。
結果だけをみると強いチームが勝ち上がった感はあるものの、各レースの差はほとんどなく常にエキサイティングなバトルが展開された。
予選タイムアタックも含めて、決勝戦までの全マッチアップを振り返ってみよう。
>>JEGTグランプリシリーズRd.4の全セッションの確定リザルトはコチラ
SF23を使用して行われた予選スーパーラップは、ABS禁止(トラクションコントロールも禁止)のルールで行われた。
フォーミュラカーはただでさえ繊細な操作を要求されるため、ドライバーにはいつも以上に正確無比なコントロールが要求される。
好タイムを叩き出して存在感を魅せつけたのが3番手でアタックした大可 明良選手(#4 EBBRO RACING TEAM)で、1分12秒398の暫定トップタイムを記録した。
上位勢が登場する後半になっても、トップタイムは更新されない。
このまま大可選手が#4 EBBRO RACING TEAM初の予選1位を獲得するかに思われた最終アタックで、王者#1 QT DIG∞の奥本 博志選手が魅せてくれた。
1分12秒125というABS禁止とは思えない驚異的なタイムを記録し、予選トップを奪った。
しかし、大可選手(#4 EBBRO RACING TEAM)は堂々の予選2番手を獲得。
3番手には、赤羽 佑互選手(#8 ARTA)が続いた。
1回戦、2回戦といった各ラウンドごとに抽選で決められたコースは以下のとおり。
| ラウンド | 使用コース |
| 1回戦 | 富士スピードウェイ |
| 2回戦 | 鈴鹿サーキット |
| ベスト4 | インテルラゴス・サーキット |
| 3位決定戦 | 東京エクスプレスウェイ 南回り |
| 決勝戦 | レッドブルリンク |
高橋 拓也選手(#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSE)
vs
瀬田 凜選手(#127 eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS)
後方スタートの瀬田選手が素晴らしいスタートを決め、高橋選手の前に出るチャンスをうかがう。
目まぐるしく順位の入れ替わるテールトゥノーズの熾烈な争いを繰り広げながら、迎えた最後のホームストレート。
瀬田選手(#127 eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS)が、わずか1,000分の2秒差で逆転勝利を決めた。
鷲尾 拓未選手(#9 ウエインズトヨタ神奈川)
vs
伊藤 龍志選手(#523 日産サティオ佐賀)
先行スタートの鷲尾選手が、終始レースを引っ張る展開。
このまま逃げ切るかに思われたファイナルラップで、脱輪によるまさかの1秒ペナルティを受けてしまう。
なんとかポジションを守ろうと後続との差を懸命に広げる鷲尾選手だったが、1秒のペナルティは以上に重い。
フィニッシュライン直前で伊藤選手(#523 日産サティオ佐賀)が追いつき勝利を掴んだ。
今村 駿佑選手(#1 QT DIG∞)
vs
佐久間 輝選手(#127 eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS)
勝利を狙う佐久間選手は、素晴らしいスタートを決めて1コーナー飛び込みで前に出る。
しかし、そのままの順位で飛び込んだ2周目のホームストレートで、今村選手がポジションを逆転。
テールトゥノーズでついていきながら前をうかがう佐久間選手だったが、最後まで踏ん張った今村選手(#1 QT DIG∞)が勝利を収めた。
佐々木 拓眞選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)
vs
佐々木 唯人選手(#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE)
JEGTを代表する両佐々木選手の対戦は、意地と意地のぶつかり合いといった様相を呈した。
スタート直後は両者冷静な立ち上がり、後方スタートの佐々木 唯人選手は冷静に前を見ながら一定の間隔でついていく。
特にポジションを争うこともなく迎えた130Rから、レースは一気に動いた。
先行する佐々木 拓眞選手に並んで、サイドバイサイドに持ち込む。
オーバーテイクには至らないものの、接戦のまま2ラップ目に入る。
そして、同じく130Rでの仕掛けを狙った佐々木 唯人選手が、見事にイン側からオーバーテイク。
しかし、最終シケインで佐々木 拓眞選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)がズバっとインをついて再逆転し、ぎりぎりの勝負を制した。
辻村 亮介選手(#8 ARTA)
vs
久万田 崚選手(#12 KOSHIDO RACING Ⅻ)
先行スタートの辻村選手だったが、スタートで無理をせず久万田選手にポジションを渡す。
常に久万田選手の後ろについているものの、辻村選手は仕掛けない。
そして迎えた2周目の130Rで仕掛けて、サイドバイサイドでシケインに飛び込む。
最後はなんとかラインをキープし、辻村選手(#8 ARTA)が勝利を掴んだ。
中川 隼人選手(#4 EBBRO RACING TEAM)
vs
伊奈田 孝高選手(#523 日産サティオ佐賀)
先行スタートの中川選手に対して、伊奈田選手は冷静についていく。
やはり仕掛けどころは130Rで、一気にオーバーテイクを決めた。
最後まで順位を死守したいところだったが、伊奈田選手はややタイヤが苦しい状態。
2周目の130Rで中川選手がポジションを取り戻すと、シケインの飛び込みで伊奈田選手はオーバーランを喫してしまう。
中川選手(#4 EBBRO RACING TEAM)が、ベスト4(準決勝)に駒を進めた。
川上 奏選手(#1 QT DIG∞)
vs
山本 英弥選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)
ベスト4の第1レースでは、オープニングラップから激しいバトルが展開された。
後方スタートの山本選手が、バックストレートでいきなり川上選手に並ぶ。
画面上では、ほぼ接触しているかのように見えるほどの接近戦を繰り広げながらレースは終盤に向かう。
そして迎えた最後の全開区間で、山本選手が一気に差を詰める。
しかし、再三の仕掛けにも冷静に対処してきた川上 奏選手(#1 QT DIG∞)が、一度もポジションを譲らず最後は1,000分の7秒差で勝利。
加藤 陸選手(#4 EBBRO RACING TEAM)
vs
大原 悠暉選手(#8 ARTA)
スタートダッシュを決めた加藤選手が序盤のレースを有利に引っ張っていたものの、2周目に差し掛かるホームストレートで大原選手にオーバーテイクを許してしまう。
加藤選手はポジションを奪い返すべく何度も仕掛けるものの、大原選手の見事なライン取りに阻まれてなかなか前に出られない。
しかし、最終コーナーを完璧に立ち上がると、そのままスリップストリームから再逆転。
加藤選手(#4 EBBRO RACING TEAM)が、薄氷を踏む展開ながら最後は勝利を収めた。
佐々木 拓眞選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)
vs
辻村 亮介選手(#8 ARTA)
スタートでまさかのフライングをとられてしまった辻村選手は、先行する佐々木選手に差を広げられてしまう。
序盤の遅れをなんとか取り戻そうと冷静な走りをみせた辻村選手は、最終シケイン直前でついに追いつく脅威の追い上げをみせるも一歩及ばず。
冷静にポジションを守りきった佐々木選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)が、3位表彰台を獲得した。
今村 駿佑選手(#1 QT DIG∞)
vs
中川 隼人選手(#4 EBBRO RACING TEAM)
ついに迎えた決勝。
後方スタートの中川選手は、再三仕掛けながら隙をうかがい、誰もが予測していなかったコース終盤の高速コーナーで、今村選手のインを見事についてトップの座を奪う。
しかし、一歩も引かない今村選手は、2周目に入るとすぐさまホームストレートでポジションを奪い返す。
そして再び迎えた最終の高速コーナーの飛び込みで中川選手が再度仕掛け、今村選手とサイドバイサイドの状態になる。
ゴールラインまで粘りたいところだったが、最終コーナーで中川選手が痛恨のスピン。
逆に再三のピンチにも冷静に対処した今村選手(#1 QT DIG∞)が、公式戦初のトーナメント戦を制した。
Rd.4でシーズン2勝目を挙げた#1 QT DIG∞が、4年連続のシリーズチャンピオン獲得に近づいたことは間違いないだろう。
しかし、いつもとは違う環境やドライバー交代といった不確定要素を伴うオフラインレースは、何が起こるかわからない。
事実、3連覇中の#1 QT DIG∞が初優勝を決めた2022シリーズは、Rd.FINALでライバルチームのミスによって劇的な逆転優勝を勝ち取った。
実力の拮抗するグランプリシリーズでは、ほんの僅かなミスでも大きく順位を落とすこともあり得る。
4年前のような、劇的なドラマが生まれるかも知れない。
また、入れ替え戦対象チームを決める、下位争いもRd.FINALの大きな見どころだ。
Rd.FINALの獲得ポイントはレギュラーシーズンよりも大きいため、どのチームが入れ替え戦になってしまうのかはまだわからない。
ポイントランキング中段あたりまでのチームは、死に物狂いで上位を狙ってくるはずだ。
JEGT2025シリーズ最終戦、Rd.FINALは、2026年1月11日(日)に東京オートサロン2026で行われる。
配信では捉えきれない選手の表情やチームの雰囲気も含めて、ぜひ生で観戦してほしい。
しかし、どうしても当日会場に足を運べない方は、JEGT公式YouTubeチャンネルでも生配信を視聴可能だ。
Text:渡邉 篤
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