RACE REPORT
レースレポート
富士スピードウェイでの、史上初のオフライン開催で開幕を迎えたJEGT2025グランプリシリーズ。
全5戦で争われる今シーズンも、2026年1月に東京オートサロン2026のe-SPORT EXPERIENCE会場で最終戦のRd.FINALを迎えた。
人数は未確認ながら、会場には幾重にも立ち見客が出る過去最高の盛り上がり。
グランツーリスモ、そしてJEGTへの関心の高さを感じた。
リーズ戦としては#1 QT DIG∞の4連覇がかかるとともに、全チームがこの特別な舞台での勝利を目指しているはずだ。
レース最終盤で最大の盛り上がりをみせた、グランプリシリーズRd.FINALの模様をレポートしよう。
Rd.FINALの決勝レースに選ばれたのは、ル・マン24時間レースで有名なサルト・サーキット。
長い直線でのスリップストリームの使い合い、高速テクニカルセクションで要求されるドライビングスキルと、グランプリシリーズ最終戦に相応しい舞台だといえるだろう。
レースレギュレーションも含めて、Rd.FINALの見どころを確認しておこう。
2025シーズンのJEGTを盛り上げてきた要素のひとつは、綿密に計算されたレギュレーションだ。
スペシャルアドバイザーに就任した山中氏が、自身の豊富な経験をもとに趣向を凝らした内容を毎戦考案。
しかも、一部の内容はレース直前に伝えるという、ドライバー泣かせな演出も盛り込まれている。
観戦する側としては見応えあるレースを楽しませてもらったが、参加するドライバーやチームはヒヤヒヤしながら毎戦対応してきたことだろう。
Rd.FINALも、各チームの頭を悩ませるレギュレーションを設定。
当日発表がふんだんに盛り込まれた、Rd.FINAL決勝レースのレギュレーションは以下のとおりだ。
| 使用コース | サルト・サーキット |
| 周回数 | 10周(当日発表) |
| 天候 | 雨/?(当日発表) |
| タイヤ消耗倍率 | 7倍(当日発表) |
| 燃料消費倍率 | 1倍(当日発表) |
| 使用可能タイヤ | レーシングハード/インターミディエイト/ウェット(当日発表) |
グランプリシリーズの多くの選手は、国内外のオフライン大会で輝かしい成績を納める経験豊富なドライバーばかりだ。
しかし、自宅とは違うセッティングの筐体やモニター、観客の視線など、普段とは全く異なる環境は、少なからずドライビングに影響する。
事実、スペシャルアドバイザーの山中氏でさえ、予選でスピンを喫してノータイムになったのは記憶に新しい。
また、当然ドライバー交代もあるため、心理面の負担もそれなりにあるだろう。
先に出るドライバーはレースを壊さないことはもちろん、1つでもポジションを上げることが求められる。
交代ドライバーは、レースの行方を見守りながら緊張感のなかで集中力を高めることが必要だ。
もちろん、以前山中氏も話していたように、観客の拍手や歓声は大きな力になる。
オフラインレースという環境が味方になるのか、不確定な不安要素となるのかにも注目していただきたい。
注目の決勝レースでは、#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSEがオフラインレースでの強さを如何なく発揮。
しかし、見どころは決勝レースだけではない。
互いの息遣いが聞こえるオフラインという環境で行われたハイパースプリントも、会場全体が一喜一憂する熱い展開。
事前に行われた予選スーパーラップの結果も含めて、Rd.FINALの全セッションを振り返ってみよう。
予選スーパーラップは、なんと雨中、しかも夜間の開催だった。
難しいコンディションのなか、各ドライバーがどう対応するのかがポイントになってくる。
注目を集めたのは、藤岡 航選手(#9 ウエインズトヨタ神奈川)だろう。
#9 ウエインズトヨタ神奈川はRd.1で初出場初優勝の華々しいデビューを決めた後、なかなか結果が出ていなかった。
8番目に出走した藤岡選手は、暫定トップタイムとなる4分02秒750をマーク。
続く鍋谷 奏輝選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)、さらに4分02秒020を叩き出した佐藤 彰太選手(#1 QT DIG∞)に相次いでタイムを更新されてしまったものの、存在感を示した。
Rd.FINALのハイパースプリントは、参加全チームが対象。
予選1位と10位、2位と9位、3位と8位、4位と7位、5位と6位というマッチアップの全5戦が実施された。
勝利チームに5ptという点は、レギュラーシーズンと同様だ。
マシンはSF23を使用したイコールコンディションで行われる。
大原 悠暉選手(#8 ARTA)
vs
久万田 崚選手(#12 KOSHIDO RACING Ⅻ)
久万田選手が、見事なスタートダッシュでホールショットを決める。
懸命に追いかける大原選手だったが、スプーンカーブでのミスもあってその差は徐々に開く。
しかし、このまま決着が付くかと思われた2周目のデグナー出口で、久万田選手がまさかのスピン。
最後まで走りきった大原選手が、逆転勝利を納めた。
中村 匠都選手(#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE)
vs
中川 隼人選手(#4 EBBRO RACING TEAM)
横並びのまま1コーナーに飛び込むと、まずは中村選手が先手を取る。
しかし、スリップストリームを使いながらぴったりと後ろにつけて追う中川選手が、2周目に意表をついてオーバーテイクに成功。
そのままフィニッシュラインを通過して、#4 EBBRO RACING TEAMに5ptをもたらした。
瀬川 彰斗選手(#9 ウエインズトヨタ神奈川)
vs
西谷 翔真選手(#127 eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS)
1コーナーを制した瀬川選手が、終始レースを有利にすすめる。
西谷選手も必死にくらいついて前をうかがうものの、一度もポジションを奪えないまま2周目の最終コーナーを迎えた。
しかし、最終コーナーをスムーズに立ち上がると、スリップストリームからサイドバイサイドに持ち込む。
ほぼ同着に見えるタイミングで両者並走のままチェッカーフラッグが振られたが、西谷選手が瀬川選手よりわずかに速くフィニッシュラインに滑り込んだ。
観客からも歓声が巻き起こる見応えのあるレースを、大逆転で西谷選手が制した。
後藤 優介選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)
vs
福永 龍我選手(#523 日産サティオ佐賀)
ホールショットを決めた後藤選手が、高いステアリング技術を発揮するレースとなった。
後方から追い上げる福永選手も、サイドバイサイドに持ち込むなど意地をみせるがなかなか前には出られない。
そして、焦りからか、後藤選手に接触をしてしまう。
しかし、不安定になったマシンを着実にコントロールした後藤選手が、最後までポジションを守りきって勝利。
奥本 博志選手(#1 QT DIG∞)
vs
高橋 拓也選手(#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSE)
ハイパースプリントで8割の勝率を誇る奥本選手に先行こそ許したものの、高橋選手もぴったりと後ろをマーク。
かなり攻め込んだ走りで再三並びかけるなど、逆転勝利にかける。
しかし、2周目の1コーナーでついに力尽き、最後は奥本選手が貫禄の勝利を決めた。
グランプリシリーズの決勝レースは、目まぐるしくトップが入れ替わるエキサイティングな展開となった。
小雨の降るなかスタートを迎えたが、まさかの全チームがハードタイヤを選択。
同じ条件下ではあるものの、路面が多少濡れたなかでのハードタイヤはドライバーの腕が試される。
全車が豪快に水飛沫をあげてスタートをした直後の1コーナーで、早速ARTAが雨の洗礼を受けた。
スタート直後という密集した状態のなかで、わずかなミスでマシンコントロールを失ってスピン。
ただ、混乱した状況でも、周囲や後続のマシンに影響を与えなかったのは、さすがの技術というべきだろう。
ピットストップを迎えるレース中盤から、ポジション争いがより激しさを増す。
まずは、後方スタートの大可 明良選手(#4 EBBRO RACING TEAM)が、アンダーカットを狙ってピットイン。
一方、ほとんどチームは5周目にピットに向かったが、4位の佐藤 真太朗選手(#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSE)はステイアウト。
作戦の違いがレース終盤にどういった影響を与えるのか、注目したいところだ。
最初に結果を見せたのが、アンダーカットを狙った#4 EBBRO RACING TEAM。
6周目には、加藤 陸選手が4番手に浮上していた。
ピット戦略という面でもっとも成功したのが、1周長くコース上にとどまった#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSEだろう。
ピット作業を終えてコースに復帰した7周目、見事にトップの座を奪っていた。
しかし、レース終盤は、各所でポジション争いが繰り広げられる大混戦で勝負の行方はまったくわからない。
ファイナルラップでは、スタートから30分以上が経過しているにもかかわらず6番手までがわずか2秒差以内。
そして、ドラマはファイナルラップに待っていた。
三宅 陽大選手(#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSE)のオーバーテイクに成功してトップを走る國分 諒汰選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)と、加藤選手がポジション争いの末にインディアナポリスコーナーで接触してしまう。
その間隙をついて、4番手にいた佐々木 唯人選手(#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE)が両車の間を見事にすり抜けるステアリング捌きを見せて一気にトップに浮上。
レースはこのまま、佐々木 唯人選手(#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE)がトップチェッカーを受けた。
2位は、ピット戦略を成功させた三宅 陽大選手(#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSE)。
安定したドライビングを続けた吉田 稜汰朗選手(#12 KOSHIDO RACING Ⅻ)が、3位表彰台を獲得した。
実力が拮抗していることを証明するかのように、大混戦が印象的だったグランプリシリーズのRd.FINAL。
優勝した#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSEと最下位に沈んだ#523 日産サティオ佐賀とのタイム差は、37分を超える長丁場の耐久レースにも関わらずわずか12秒ほどだった。
Rd.4までの圧倒的なポイント差を背景に4連覇を達成した#1 QT DIG∞がでさえ、レース結果は5位に終わった。
一方の#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSEは、チャンピオンシップ表彰台圏外から一気に2ランクアップを果たしてシリーズ3位を獲得。
オフラインレースに強いといわれる所以を、東京オートサロンという大舞台で見せつけた。
また、昨年シリーズ3位だった#12 KOSHIDO RACING Ⅻは、1つ順位を上げて2位。
ポイントランキングの結果だけをみると#1 QT DIG∞の1強にみえるが、Rd.FINALのような展開がシーズン中に1回でも起こっていたらチャンピオンシップ争いの行方はわからなかった。
そして、来季のグランプリシリーズ出場をかけた、入れ替え戦がまだ残っている。
結果次第では来シーズンの勢力図を大きく書き換える可能性もあるため、ぜひ注目していただきたい。
開催の詳細情報は決定次第JEGT公式Xや公式サイトで発表される予定のため、必ずフォローしてチェックしておこう。
Text:渡邉 篤
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