RACE REPORT
レースレポート2024年に開幕したJEGT2024シリーズトップリーグは、2025年1月12日の東京オートサロン2025特設会場でおこなわれたRd.FINALでシーズンを無事に終えた。
終わってみれば、前人未到の3連覇を成し遂げた#1 Sengoku Gamingが変わらない強さをみせつけたシーズンだったといえるだろう。
しかし、グランツーリスモの世界レベルの選手ばかりが出場するJEGTのトップリーグで、チャンピオンシップを獲得するのは簡単なことではない。
実際、Rd.FINAL前のポイントランキングでは、合計7チームにチャンピオンシップ獲得の可能性が残されていた。
#1 Sengoku Gamingの今季初勝利で幕を閉じたRd.FINALの模様を、たっぷりと振り返ってみよう。
JEGT2024シリーズRd.FINALは、上位7チームにチャンピオンシップ獲得の可能性が残るという大混戦のなか開催された。
もともと実力の拮抗しているトップリーグだけに、混戦模様になると2連覇中でポイントランキングトップの#1 Sengoku Gamingといえども安泰とはいえない。
まずは、最終戦を前にしたポイントランキングの状況と、Rd.FINALの特徴について紹介しよう。
Rd.2を終えた段階でのポイントランキングでは、3連覇のかかる#1 Sengoku Gamingが52ptでトップ。
しかし、2番手の#52 KANTOモータースクール SCARZとのポイント差はわずか8ptで、最大40ptが獲得できるRd.FINALのポイントテーブルを考えると決して安泰とはいえない位置だ。
さらに、6番手の#127 eM福岡 エンタテ!区 LEGENDSも27ptを挙げており、その差は25ptとRd.FINALの展開次第ではチャンピオンを十分に狙える位置につける。
トップの#1 Sengoku Gamingが有利であることは間違いないが、これだけの混戦、尚且つオフラインとなるば何が起こるかわからない。
合計6チームに現実的な可能性が残るなか、チャンピオンシップ争いの行方をかけて最終戦を迎えることになった。
オフライン大会として開催されるRd.FINALは、ピットでドライバー交代というオンライン大会にはない要素がレースに加わる。
過去にはピットイン時の操作ミスでポジションを失ったチームもあり、各チームが強く意識しているポイントだろう。
さらに今回のレギュレーションを確認すると、「天候変化」が盛り込まれている。
天候の変化は、事前に立てたレース戦略に大きく影響する不確定要素だ。
Rd.2で上位勢がポジションを失うなか、#8 ARTAと#127 eM福岡 エンタテ!区 LEGENDSが大躍進したのは記憶に新しい。
大勢の観客が見守るというオフラインならではの緊張感のなか、いかに柔軟に天候の変化に対応するかが勝負のカギを握るだろう。
使用コース | スパ・フランコルシャン24h |
使用タイヤ | レーシングミディアム/ ソフト/ インターミディエイト/ ウェット |
タイヤ消耗 | 6倍 |
燃料消費 | 1倍 |
ピット作業での順位変動が結果に影響を与えるという、オフラインレースならではの側面がみられた決勝レース。
コース上でも激しいバトルが展開され、天候の変化と合わせて一瞬も目の離せない展開となった。
見ごたえ十分の予選スーパーラップとあわせて、チャンピオンシップ争いのかかった決勝レースの模様を振り返ってみよう。
予選スーパーラップで光ったのは、鈴木 聖弥選手(#02 EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川)だった。
一発の速さに定評があり、昨シーズンも最終戦で予選スーパーラップに抜擢されていたものの体調不良で出場を断念。
昨年の悔しさを胸に挑んだ予選で、他を寄せ付けない走りをみせつけた。
ここまで全チームが2分14秒台後半というタイムのなか、2分13秒台もみえるペースでセクター1を駆け抜ける。
セクター2で少し姿勢を乱すシーンもみられたものの、トップタイムを更新する2分14秒490を記録した。
その後に出走した上位勢が渾身のアタックをみせるも、タイム更新はならず。
結局、唯一の2分14秒台前半を記録した鈴木 聖弥選手(#02 EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川)がポールポジションを獲得。
2番手は川上 奏選手(#1 Sengoku Gaming)、逆転でのチャンピオン獲得を目指す#52 KANTOモータースクール SCARZの佐々木 拓眞選手が3番手に入った。
天候の変化がレギュレーションに盛り込まれ、降雨の予報のあるなか迎えた決勝レース。
全車レーシングミディアムを選択した第1スティントは、大きな順位変動のないまま進んでいく。
各チームが空模様を睨みながらタイヤ交換のタイミングを図っていた6ラップ目、ポツポツと降り始めた雨は一気に土砂降りとなり、全車が同タイミングでピットイン。
しかし、ここまで膠着状態だった上位勢に、オフラインレースならではの順位変動がおこる。
スタートポジションと同じ、山中 智瑛選手(#02 EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川)、奥本 博志選手(#1 Sengoku Gaming)、佐々木 拓眞選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)の順でピットインをしたものの、ピットアウト時には今村 駿佑選手(#1 Sengoku Gaming)が後続を少し離してトップに立っていた。
さらに、4番手を走行していた#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSEも3番手にポジションアップ。
ピットタイミングで4番手に後退した#52 KANTOモータースクール SCARZは、ウェット路面で絶対的な速さを誇る宮園 拓真選手を第2スティントドライバーに起用。
一気に追い上げを図りたいところだったが、佐藤 真太朗選手(#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSE)と鷲尾 拓未選手(#02 EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川)のオーバーテイクでタイムをロスしてしまう。
雨の上がった10ラップ目には、先頭を走る今村選手を皮切りに各車が再度のピットイン。
しかし、ポイントランキングトップの#1 Sengoku Gamingを抜くしかない宮園選手は、ステイアウトを選択をして勝負をかける。
チャンピオンシップ争いは、事実上#1 Sengoku Gamingと#52 KANTOモータースクール SCARZに絞られた最終スティント。
宮園選手の踏ん張りで残り周回数を減らし、上位陣では唯一のソフトタイヤで挑む鍋谷 奏輝選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)が必死の追い上げをみせる。
しかし、盤石の戦略でバトンを受け継いだ小林 利徠斗選手(#1 Sengoku Gaming)が堅実な走りをみせ、ポジションをキープしたままフィニッシュ。
Rd.FINAL優勝という最高の結果で、シリーズチャンピオン3連覇を果たした。
2番手は鍋谷選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)、3番手は三宅 陽大選手(#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSE)が入った。
前人未到の3連覇を果たした#1 Sengoku Gamingだが、実はRd.FINAL前まで今シーズンは1勝も挙げられていなかった。開幕戦2位、Rd.2では3位という戦績からは、いかに今シーズンが大混戦だったかがうかがい知れる。
一方で、未勝利ながらポイントランキングトップの位置につけていたのは、予選、ハイパースプリントとチーム全体で着実にポイントを重ねてきた結果だろう。
そして迎えたRd.FINAL、ポジションを明け渡すとチャンピオンを奪われるという状況のなか今季初勝利を掴んだところに、#1 Sengoku Gamingの強さを感じた。
来シーズンは、3連覇という偉業を成し遂げた#1 Sengoku Gamingを中心とした展開になることは間違いない。
しかし、初陣で初勝利を飾った#52 KANTOモータースクール SCARZ、雨中のレースを制した#8 ARTA、最終戦でポールポジションを掴んだ#02 EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川など、トップリーグの実力は拮抗している。
また、トップリーグに参戦する各チームは、4連覇を阻止すべく全力でマークすることだろう。
JEGT2025シリーズでは、すでにラウンド数の増加が予告されている。
よりスケールが大きくなるJEGTで#1 Sengoku Gamingへの挑戦権を得るのはどのチームになるのか、今から楽しみにしたい。
Text: 渡邉 篤
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