RACE REPORT
レースレポートJEGT2025シリーズは、昨年に引き続き企業対抗戦を実施。
2025年9月6日(土)に、チャレンジリーグとともに今シーズンの開幕戦を迎えた。
純粋に勝利だけを目指すグランプリシリーズやチャレンジリーグとは異なり、eMS本来の楽しさを感じられる企業対抗戦。
全セッションで大いに盛り上がった、開幕戦のレースレポートをお届けしよう。
JEGTの企業対抗戦は、参加企業の社員ドライバー主体のチームによるリーグだ。
今シーズンは全18チームが参加し、リーグの規模としてはJEGT最大を誇る。
まずは、他リーグとの違いや開幕戦のレギュレーションをみていこう。
企業対抗戦には、グランプリシリーズやチャレンジリーグとはまた違った魅力がある。
競技として単純にテクニックと速さを競うだけでなく、eMSの「楽しさ」も感じられる点だ。
企業対抗戦は、参加企業に所属していれば誰でも参加できる。
つまり、昨日グランツーリスモを始めた初心者であっても、JEGTの舞台で戦えるのだ。
一方で、参加18チーム中、シリーズポイントランキング上位10チームには、2026年1月に開催が予定されているオフライン大会(Rd.FINAL)への出場権が与えられる。
JEGTの他リーグと同様に、上位進出を目指して各チームが本気で取り組んでいることは大前提だ。
企業対抗戦は、真剣勝負でありながらも、eMS本来の楽しさを存分に味わえるリーグといえる。
使用コース | 鈴鹿サーキット |
周回数 | 5周 |
使用タイヤ | レーシングソフト |
スリップストリーム | リアル |
タイヤ摩耗 | 6倍 |
燃料消費 | 1倍 |
使用コース | オートポリス |
周回数 | 5周 |
使用タイヤ | レーシングソフト |
スリップストリーム | リアル |
タイヤ摩耗 | 4倍 |
燃料消費 | 1倍 |
使用コース | スペシャルステージルートX |
周回数 | 1周 |
使用タイヤ | レーシングハード |
スリップストリーム | 強い |
タイヤ摩耗 | 30倍 |
燃料消費 | 1倍 |
使用コース | 鈴鹿サーキット |
周回数 | 9周 |
使用タイヤ | レーシングハード/ソフト(どちらも使用義務あり) |
スリップストリーム | リアル |
タイヤ摩耗 | 6倍 |
燃料消費 | 2倍 |
レースを終えてみれば、#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA、#56 MAZDA E&T METeoRACING チームBの両チーム完勝という結果だった。
しかし、予選レースも含めて、参加各チームの光る走りが随所にみられた。
放送されなかった予選スーパーラップの概要も含めて、レース全セッションの詳細レポートを紹介しよう。
グループAの予選スーパーラップでポールポジションを掴んだのは、福島 涼太選手(#56 MAZDA E&T METeoRACING チームB)。
唯一の1分58秒台の好タイムを記録し、JEGT認定ドライバーの実力を見せつけた。
2番グリッドは、トップタイムにわずか0.042秒届かず橋本 理選手(#504 WEINS CLUB TEAM TaG)。
3番グリッドを掴んだ岩本 智樹選手(#84 TOMEI × TRUST)は、社員ドライバーながらJEGT認定ドライバーの一角に食い込んだ。
グループBの予選スーパーラップでは、岡村 康平選手(#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA)がポールポジションを獲得。
グループAとともに、MAZDA E&T METeoRACINGの兄弟チームがいずれもポールを獲得する形となった。
2番手は原 俊司選手(#557 TeamG-7AUTOSERVICE)、3番手は小林 優希選手(#87 HKS e-MotorSport)。
ポールポジションの#56 MAZDA E&T METeoRACING チームBは、社員ドライバーの勝 勇気選手がステアリングを握る。
2番グリッドからスタートするJEGT認定ドライバーの長谷川 葉月選手(#504 WEINS CLUB TEAM TaG)を、どこまで抑えきれるかがレース序盤の注目ポイント。
一方、中段争いはオープニングラップから激しいポジション争い。
内田 圭祐選手(#84 TOMEI × TRUST)、藤谷 龍之介選手(#350 BBS e-Ⅿotorsports)、岡田 琥博選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)、秋葉 覇貴選手(#884 Mt North)がシケインでスリーワイドになるなど、決勝レース進出ラインの5番手を巡って各車が必死の攻防。
最初に集団を抜け出したのは、9番手スタートの秋葉選手だった。
集団を抜け出すと3ラップ目には3番手、4ラップ目には2番手に浮上。
さらにトップを走る勝選手を猛追したものの、一歩届かず。
結果は、勝選手(#56 MAZDA E&T METeoRACING チームB)が安定した走りで、ポールトゥウィン。
9番手から脅威の追い上げをみせた秋葉選手(#884 Mt North)が、2位でチェッカーを受けた。
谷 龍一選手(#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA)がポールポジションからスタートした予選グループBは、オープニングラップから激しいポジション争いが繰り広げられた。
各ポジションでバトルを展開されるなか、鋭い走りを見せたのが4番手スタートの森下 結人選手(#200 日本海間瀬サーキットwithニノンeMs)。
まず、第1ヘアピンで3番手に上がると、続く第2ヘアピンで柿本 直鷹選手(#557 TeamG-7AUTOSERVICE)のインをついて2番手に浮上した。
4番手以降では、市井 智也選手(#104 TOYO TIRE Eモータースポーツ部)、松本 優一郎選手(#61 SUBARU e-Motorsport Team)、高橋 一樹選手(#41 WEINS GRGarage TRESSA YOKOHAMA)、川村 壮人選手(#33 NTT DOCOMO BUSINESS ENGINEERING)、吉安 悠介選手(#87 HKS e-MotorSport)の5台が団子状態のまま2ラップ目に突入。
決勝レース進出のカットラインである5番手を巡り、各チームの意地のぶつかりあいがみられた。
ファイナルラップでは、高橋選手と川村選手が決勝レース当落線上の熾烈な5番手争い。
第2ヘアピンでアウト側で粘った川村選手が、ジェットコースターストレート後の60Rでイン側から5番手ポジションを奪った。
レースは、谷選手(#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA)が終始危なげない走りでポールトゥ・ウィン。
森下選手(#200 日本海間瀬サーキットwithニノンeMs)が4番手から2ポジションアップの2位、さらに最後尾スタートの市井選手(#104 TOYO TIRE Eモータースポーツ部)が驚異の追い上げを見せて3位に入った。
コンソレーションレースの舞台は、12kmに及ぶストレートをもつオーバルコースのスペシャルステージルートX。
スリップストリームが「強い」設定で行われたこのレースは、グリッド順を問わず全チームに勝利の可能性がある。
また、広いコース幅とアクセル全開のオーバルコースのため、スタート直後から全車横並びの目まぐるしくポジションが入れ替わる展開。
坂道に差し掛かったところでGT-Rを使用する吉安 悠介選手(#87 HKS e-MotorSport)が、マシンパワーを活かして一気にトップに立つ。
さらに、スタートで出遅れたかにみえた同じくGT-Rの浪井 楓選手(#90 WEB OPTION RACING)が、集団を抜け出してトップを奪う。
最初のバンクに入ると、イン側に位置取りをした平井 睦輝選手(#135 Yamaha esports Boosters)が先頭で引っ張る形。
一方、後方のチームはアクセルを調整しながら、抜け出すタイミングを調整している様子がうかがえる。
最終的に勝負が決まったのは、2つ目のバンク出口だった。
集団の隙間を最短距離で抜け出した松島 佑斗選手(#350 BBS e-Ⅿotorsports)が、後続を振り切ってトップチェッカー。
終始有利な位置取りをキープし続けた平井選手(#135 Yamaha esports Boosters)が2位、廣田 響生選手(#61 SUBARU e-Motorsport Team)が3位に入った。
加島 優生選手(#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA)と井上 貴正選手(#56 MAZDA E&T METeoRACING チームB)の兄弟チームがフロントローを独占した決勝レース。
レースは、トップ3台がハードタイヤを選択するなか4番グリッド以降のチームはソフトタイヤを選択し、タイヤ戦略の違いに注目が集まる。
オープニングラップは中段以降のソフトタイヤ勢による激しいバトルが繰り広げられ、レース後半に向けたタイヤ摩耗が気になる展開。
ソフトタイヤ同士の争いを抜け出したのが、6番グリッドスタートの堀 秀任選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)だった。
2ラップ目の1コーナーでハードタイヤのニノ高橋選手(#200 日本海間瀬サーキットwithニノンeMs)をオーバーテイクすると、さらに前を行く栗原 翼選手(#18 IBARAKI TOYOPET e-NE)をヘアピンで抜き去ってトップ2への追い上げ体制を整える。
まずはバックストレートで井上選手、さらに続くホームストレートエンドの1コーナー飛び込みで加島選手を捉えてトップに立った。
4ラップを走り終えたタイミングで、各車が相次いでピットイン。
いち早くピットアウトをしたのは、ハードタイヤからソフトタイヤにスイッチした加島選手。
ソフトタイヤで逃げていた堀選手だったが、ピット作業で逆転を許してしまう。
さらに、3番手でコースに復帰した井上選手は、ハードタイヤの堀選手を7ラップ目のバックストレートで捉えて130Rでオーバーテイク。
終盤に入って、再度MAZDA E&T METeoRACINGが1-2体制を築く。
レースはこのまま、加島選手(#55 MAZDA E&T METeoRACING チームA)がトップチェッカー、2位に井上選手(#56 MAZDA E&T METeoRACING チームB)という体制で決着。
3位にはニノ高橋選手(#200 日本海間瀬サーキットwithニノンeMs)が入った。
予選スプリントレースでの手に汗握る攻防、決勝レースでのピット戦略の妙、そして全チームに勝利の可能性があったコンソレーションレース。
企業対抗戦の開幕戦には、eMSのあらゆる魅力が凝縮されていた。
トップ選手の高いドライビング技術はもちろん見応えがあるが、「誰でも」「気軽に」楽しめるのもeMSの持つ魅力。
企業対抗戦をみて、「自分も参加してみたい」と感じたファンの方も多いのではないだろうか。
JEGTの企業対抗戦は、チーム構成の規定さえ満たせばどの企業でも参加できる。
また、企業対抗戦に参戦できなくとも、仲間内で一緒にグランツーリスモを始めとするeMSを楽しむことは可能だ。
2025年10月4日(土)開催予定の次戦を楽しみに待ちつつ、ぜひご自身でもプレイしてみてほしい。
Text:渡邉 篤
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