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ニュース初代ホンダ NSXの登場は、30年以上前の1990年。
現行型となる2代目NC1型NSXは、途中10年の空白期間を経て登場した。
先進技術が詰め込まれたハイブリッドパワーユニットは、システム全体で600馬力以上の出力(最終型Type S)を発生。
初代とは別車種といえるほどの変貌を遂げた国産スーパーカー、2代目ホンダ NSXの全貌を紹介する。
2代目NSXの登場まで、初代NSXの生産終了から実に10年の期間を要した。
しかし、それだけの期間をかけただけあり、完成度の高い1台に仕上がっている。
3モーター搭載のハイブリッドシステム、先進の足回りと完成度の高いブレーキ、さらに見とれてしまう外観デザインと、どの点を切り取っても世界のスーパーカーと比べてまったく遜色ない。
初代NSXの生産が終了してからちょうど10年が経った2016年(北米)、国産スーパーカーNSXは2代目として復活した。
2代目NSXは、当初2010年の販売を目指して開発されていたが、リーマンショックに端を発する世界的な景気後退により2008年末に開発は中止。
試作車をベースとしたHSV-010 GTが、SUPER GTに投入されるにとどまる。
それから4年後となる2012年、北米国際自動車ショーで「NSX コンセプト」を発表。
頓挫したHSV-010から大きく異なる、革新的な3モーターハイブリッドシステムに世界は驚いた。
10年の間隔が空いたことをホンダは無駄にしなかった。
その間の劇的な技術の進歩を取り入れ、3モーターハイブリッドスーパーカーとして生まれ変わらせたのだ。
核となる新開発のV型6気筒直噴エンジンにはツインターボが搭載され、エンジンのみの出力で500馬力を超える。
そこに左右の前輪それぞれと後輪に合計3つのモーターを搭載し、システム最高出力は581馬力を発揮し、最終のType Sではシステム全体の出力は610馬力に達する。
また、後輪モーターはターボラグを解消するように制御し、低速から高速までもたつきのないスムーズな加速感を実現した。
左右独立して制御される前輪のモーターによって、コーナー入り口から立ち上がりまで安定した挙動を実現。
MR(実際には前輪モーター駆動の4WD)の持つ回頭性の良さに安定感が加わったことで、イメージ通りのライントレースができる。
さらに、思い通りに車をコントロールするための装備も充実。
たとえば、前後の減衰力可変式ダンパーに磁性流体を採用し、瞬時に減衰力が調整される。
また、ブレンボ製の機械式ブレーキと回生ブレーキによる制動バランスの制御、可変ギアレシオのデュアルピニオン式ステアリングなど、ドライバーの操作を表現する部分にも抜かりない。
トランスミッションには、9速デュアルクラッチトランスミッションを採用し、エンジンの出力を余すことなく使い切る。
そして、パワーユニット、ドライブトレイン、サスペンションなどすべてのシステムを総合制御することで、ドライバーのハンドル、ペダル操作に無理なく応える車に仕上がった。
所謂スーパーカーとして見た場合、2代目NSXのデザインに派手さはなくやや迫力に欠ける。
しかし、1つ1つの華やかさはなくても、すべての調和が取れているため、しばらく眺めていると飽きがこないことに気がつくはずだ。
スーパーカーにありがちな攻撃的なものではなく、エレガントささえ感じるデザインは、エアロダイナミクスを考慮したミラー、ボンネットのベントや後部のエアインテークなど、すべて機能に裏打ちされている。
実は、「グランツーリスモSPORT」に登場するNSX Gr.3は架空の存在。現在はスーパーGTにも出場するNSX GT3は存在するが、「グランツーリスモSPORT」発売タイミングではまだ存在していなかったためだ。(アキュラ名義のものはあった)
FIA-GT3に準拠しなければならないグランツーリスモに登場するNSX Gr.3は、ハイブリッドシステムを含む4WDではなく純粋なMR仕様。MRの持つ回頭性の良さはあるものの、コーナー出口などで乱暴なアクセル操作をするとリアがブレークしやすい。
車の中核である3モーターシステムと駆動方式の大幅な変更に加え、究極の軽さを追求したことにより、まるでフォーミュラカーのような挙動になるのは必然であり、ある意味でリアルとも言える挙動を見せる。
「グランツーリスモSPORT」内のデータによれば、NSX Gr.3の評価ポイントに突出した点はない。
しかも、安定性ポイントは5.7ptとやや低く、ブレーキングとコーナリングポイントも3.9ptと決して高くない。
挙動にピーキーな面があるため繊細な運転操作が必要だが、思った以上に小気味良いコーナリングができるのは、さすがMRレイアウトいった印象だ。
さらに、Gr.3車両の中でも比較的高い5.8ptの加速性能によって、繊細な運転操作さえできればコースを選ばず安定したタイムを残せる。
2代目NSXは、2022年12月に生産が終了。
初代NSXほど出荷台数は伸びず、ビジネス的には決して成功したとは言えない。
初代が800万円台からであったことを考えると、2,000万円以上という価格が高いという声もあるが、車自体の作りを考えると決して高くなく、むしろバーゲンプライスと言ってもいい。
3モーターハイブリッドに9速トランスミッション、磁性流体を使ったダンパーなどの先進装備をし、オプションとはなるが、カーボンセラミック製ブレーキディスクまで奢られている。
同等の装備を備えた輸入車メーカーのスーパーカーなら、3000万円以上のプライスが付けられていてもおかしくない。
最終型となるNSX Type Sの国内販売分は、残念ながら既に完売。
今後NSXという車名はレガシーとなってしまうのか、それとも3代目NSXの登場はあるのか。
「グランツーリスモSPORT」でNSX Gr.3をドライブしながら思いを馳せたい。
全長×全幅×全高 (mm) | 4,535×1,940×1,215 |
ホイールベース (mm) | 2,630 |
前後トレッド幅(mm) | 1,665/1,635 |
車両重量 (kg) | 1,790 |
エンジン | JNC |
排気量 (cc) | 3,492 |
最高出力 (PS/rpm) | 529ps/6,500-6,850rpm |
最大トルク (Nm/rpm) | 61.2kgf・m/2,300-6,000rpm |
システム最高出力 | 610ps |
システム最大トルク | 68.0 kgf・m |
駆動方式 | 4WD |
前後タイヤサイズ(前・後) | 245/35ZR19・305/30ZR20 |
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