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  • 2023.06.11
  • グランツーリスモ関連情報

グランツーリスモ初心者のためのターボ講座! 過給器全般の仕組みからセッティングのポイントまで詳しく解説

グランツーリスモ7ではターボの詳しい説明も確認できる

エンジンをパワーアップする方法として一般的な“ターボ”。
最近では、レーシングカーやスポーツカーといった車種の単純なパワーアップだけではなく、省燃費性能を求めるエコカーにも“ダウンサイジングターボ”という名称で採用されている。
しかし、言葉としては知っていても、なぜパワーアップするのか正確に理解していない人も少なくない。
そこで、ターボを中心に過給器そのものの仕組みや弱点、グランツーリスモ7でのセッティング方法まで詳しく解説しよう。

劇的にエンジン出力を向上できるターボ

グランツーリスモ7では画面右下にブースト圧が表示される

ターボはエンジン内で燃料を燃焼するために必要不可欠な空気を、強制的に増加させて送り込む装置だ。
空気量を増やすことで燃焼力、つまりシリンダー内の爆発力を向上させてエンジン出力を引き上げる。

まずは、“過給器”とも呼ばれるターボチャージャーの基本的な仕組みを詳しく解説しよう。

>>ターボ搭載でコンパクトなのに速いスイフトスポーツ“スイスポ”についての紹介はこちら

エンジンの出力に欠かせない空気(酸素)

クルマのエンジンの仕組みを簡単に表すと、酸素と気化した燃料を混ぜた状態の”混合気“に着火して爆発させて得たエネルギーを回転エネルギーに変える装置だ。
少し乱暴で単純な解釈をすると、混合機の爆発力がエンジンのパワーに直結する。
エンジンのパワーを向上させるには、燃焼による爆発力を高めればよいということだ。

ここで、考えるのが単純に燃料を増やして爆発力を高めることだが、単純に燃料を増やしただけでは爆発力は向上しない。
物体の燃焼には、必ず酸素が必要なため燃料を見合った空気を送り込んでやる必要があるのだ。

送り込む空気を増やすターボチャージャー

ターボは日本語で”過給器“とも呼ばれる装置で、エンジン内に圧縮した空気を送り込む働きをする。

具体的には、排気ガスの圧力で”タービン“と呼ばれる風車を回して空気を圧縮、エンジンシリンダー内に容量以上の空気を送り込む。
たとえば、3,000cc 6気筒エンジンの1気筒は500ccのため、最大で500cc分しか空気は入らない。(実際には燃料との混合気なので空気の量はもっと少ない)
しかし、空気を2倍に圧縮してやれば1,000ccの空気を送り込めるので、エンジンサイズを2倍にしたパワーを得られる。(実際は燃料の量や大気圧と関係するため単純に2倍にはならない)

ターボラグが最大の弱点

簡単にエンジンのパワーアップを図れるターボだが、”ターボラグ“という大きな弱点がある。
エンジンの回転数が低く、排気ガスの圧力が十分得られない場面では、空気を圧縮する“ブースト”がかからない。
ブーストがかかるまでに、一定の時間差”ラグ“が発生することから”ターボラグ”と呼ばれる。

また、ターボエンジンは強制的に大量の空気をシリンダー内に送り込むため、自然吸気エンジン(NA)に比べて圧縮比を上げられない。
もともと圧縮されている空気を、さらに高い比率で圧縮するとエンジンを壊してしまうためだ。

つまり、ブースト圧がかかっていない状態のターボエンジンは、必然的にNAエンジンよりも非力ということにる。

ターボラグを克服したスーパーチャージャー

過給器の仕組みは、ターボだけではない。
ターボラグのない過給器、”スーパーチャージャー“だ。

仕組みは簡単で、排気ガスのエネルギーで空気を圧縮するターボに対して、スーパーチャージャーはエンジンの回転そのものを利用して空気を圧縮するため、低回転時から安定したブースト圧が得られる。

ただし、スーパーチャージャーにも弱点がある。
空気の圧縮に、エンジンの回転力を利用するためパワーロスが発生することだ。
とくに高回転ではエンジン出力のロスが大きく、過給器そのものがパワーの足かせになってしまう。

グランツーリスモ7での過給器関連のセッティング

グランツーリスモ7のターボはノーマルから高回転型まで合計4種を使い分けられる

グランツーリスモ7は高度な物理演算によって、クルマの挙動や性能がリアルにシミュレートされている。
ターボについても例外ではなく、物理特性を理解することでより目的にあったパーツを選択できるようになるはずだ。

グランツーリスモ7でのターボセッティングのポイントを、ターボの特性も交えて詳しく紹介しよう。

>>エンジン出力を向上させたら同時に見直したい足回りのセッティングについてはこちら

ターボはチューニングショップで購入可能

グランツーリスモ7でターボを搭載したい場合は、ワールドマップ内の“チューニングショップ”で購入できる。

また、ターボだけではなくスーパーチャージャーも選べるうえ、関連機器としてインタークーラーやアンチラグシステムも用意されているので、好みや目的に合わせてセッティングしよう。

ただし、ターボやスーパーチャージャーは、すべての車種に導入できるわけではないので注意してほしい。

○回転型ターボはタービンサイズの違い

購入できるターボは、“低回転型”“中回転型”“高回転型”に加え、特定のエンジンでのみ使用できる“超高回転型”の計4種類。(2023年5月のアップデート以降)
それぞれの大きな違いは、タービンサイズによる特性の違いだ。

タービンが小さければ、少ない力で回せるので排気ガスの圧力が低い低回転でもブーストがかかる。
一方、空気を圧縮する力は弱いので高いブースト圧は期待できない。
逆にタービンが大きければ、大量の空気を圧縮できるので大パワーが得られるが、エンジンを高回転まで回して十分な排気ガス圧力を得る必要がある。

マシンの特性や乗り方、コースに合わせて最適なタービンを選ぼう。

ターボの弱点を補うアンチラグシステム

ターボの弱点は、アクセルオフで排気ガス圧力が一旦下がると、次にアクセルオンにした際にターボラグが発生することだ。
メーカーによっては“ミスファイアリングシステム”とも呼ばれるアンチラグシステムは、アクセルオフ時にエンジンシリンダー内で混合気にあえて着火せず(ミスファイヤ)、エグゾーストパイプ側で未燃焼ガスを燃焼させて、タービンを回す排気ガス圧力を一定以下に下げないための仕組み。

グランツーリスモ7でも、アンチラグシステムが用意されているのでターボラグを抑えたい場合は導入を検討しよう。
アンチラグシステムの効きは、好みに応じて3段階に調整できる。

インタークーラーはターボの必需品

空気は圧縮すると温度が高くなる特性があるが、高温の空気はエンジンにとってデメリットしかない。
そこで、高温になった空気を冷やすために、ラジエーターと同様の仕組みをもつ“インタークーラー”がターボ車には装備されている。

空気が高温になると密度が低くなり、結果的にせっかく圧縮しても十分な空気をエンジンに取り込めない。
また、高温の空気に燃料を混合すると正しい着火タイミングの前に、自然発火してしまうおそれもある。

グランツーリスモ7では、性能に応じてインタークーラーを複数用意。
空気を冷やすほどエンジン出力をあげることができるので、レギュレーションが許す限りより高性能なインタークーラーを選ぼう。

ターボの仕組みを理解するとチューニング不可のレースでも走らせ方が変わる

グランツーリスモ7の過給器関連の購入画面

グランツーリスモで開催されるレースではチューニングを禁止していることもあるので、参加するレースのレギュレーションを事前に十分確認してほしい。
しかし、仕組みを理解していることはレースで大きなアドバンテージになる。

ターボ車をドライブする場合は、できるだけ排気ガス圧力を下げないような運転がポイントになるだろう。
一方で、ライバル車がターボ車でこちらがNAエンジンの場合は、コーナー立ち上がりのターボラグをついてオーバーテイクといった作戦も考えられる。

レースで使用できなくても、さまざまなセッティングで走っておけばクルマの特性をより深く理解できて走り方の引き出しを増やせるはずだ。

Text: 渡邉 篤

マシン特性を理解したトップドライバーが競うJEGT2022シリーズ ROUND3 配信アーカイブ

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