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2026年12月4日、グランツーリスモ7の大型アップデート「SPECIII」の配布が開始された。
世界1億本の販売を記念して投入されたアップデートだけに、無償とは思えないほどの内容が盛り込まれている。
新コースやタイヤ、新機能などさまざまな内容が各所で話題となっているが、追加車種のなかでも一際目を引くルノー エスパスF1について実車の情報含めて紹介しよう。
エスパスF1は、ルノーがヨーロッパ初のミニバンとして発売したエスパスの誕生10周年として製作された。
最大の特徴は、当時F1でウィリアムズとのタッグでチャンピオンを獲得したエンジンがほぼそのまま搭載されていることだ。
ベースモデルがヨーロッパ初なら、エスパスF1は世界初にして世界最速のミニバンだ。
まるでゲームの世界のような、実際のエスパスF1の魅力を紹介しよう。
冒頭の写真のとおり、ミニバンのエスパスはボンネットが短く、居住空間確保のためにリアにもスペースはない。
では、RS4型3.5リッターV10という、巨大エンジンをどこに搭載したのか。
なんと、車内ど真ん中、後部座席の中央部にエンジンがそのまま載せられているのだ。
重量配分を考えると、確かに車体中央部に搭載するのは理に適っている。
しかし、F1エンジンの咆哮のなかでは、家族で会話を楽しみながらドライブというわけにはいかなさそうだ。
エスパスF1が作られたのは30年以上前の1994年だが、エクステリアは全く古さを感じさせない。
コンセプトモデル的な位置づけだったからこそ挑戦的なデザインを採用できた面はあるが、過激なリアウィングや極端なローダウン仕様ながら洗練された印象にまとめているのはさすがルノーといったところだ。
また、驚くべきことに、フロントサスペンションは市販モデルのものを強化して使っている。
トラクションを直接受け止める専用開発されたシャシーやFW14Bから移植されたリアサスペンションといった大改造が施されているものの、一部でも市販車のパーツを使用しているところにベースモデルの完成度の高さがうかがえる。
挑戦的で魅力あふれるエスパスF1だが、さすがに市販されることはなかった。
生産台数はわずか2台で、ルノーとフランスのマトラ博物館が所有しているため滅多にお目にかかれない。
仮にヨーロッパの博物館まで見に行ったところで、運転はもちろん触れることさえ叶わないだろう。
しかし、グランツーリスモ7なら、エスパスF1を間近で眺めたり実際に運転したりできる。
精巧に再現された、グランツーリスモ7に収録されたエスパスF1をみていこう。
エスパスF1は、メイン画面のレジェンドカーで入手できる。
ややお値段は張るが、世界に2台しかないことを考えると妥当だろう。
そして、PSVR2を持っている方は、ぜひVRでご覧いただきたい。
リアハッチ側から覗き込むと、サスペンションやエンジンの一部が見られる。
フランスのマトラ博物館に行っても展示用のバリケード越しになるため、これだけ間近に見られるのはグランツーリスモ7だけだろう。
また、VRを持っていない方も、ガレージ内でさまざまな角度からじっくりと眺められる。
美しいエクステリアデザインと合わせて、エスパスF1をじっくりと鑑賞していただきたい。
フォーミュラカーと変わらない高いハンドリング性能も、エスパスの魅力だ。
ただ単にF1エンジンを搭載しても、しっかりと操れなければクルマとして面白くない。
車体中央部に配置されたエンジン、超低重心設計、F1マシンから移植されたサスペンションといった基本設計がしっかりしているからこそ、ただの色ものではなくクルマとして魅力的なのだろう。
グランツーリスモ7に収録されているミニバンといえば、JEGTのエキシビションマッチでも再三使用されるトヨタ アルファードが代表格だ。
しかし、どれだけ非現実的なチューニングを施しても、スーパーカーのような挙動にはならない。
基本設計は、あくまでもミニバンだからだ。
逆に考えると、レーシングカーらしい動きをするエスパスF1と、ミニバンという性格がきっちり表現されているアルファード、どちらもグランツーリスモ7の再現度の高さを示しているともいえる。
グランツーリスモ7でエスパスF1に乗っても、高いハンドリング性能もあって運転中はミニバンとは実感しにくい。
世界で唯一無二といえるこのモデルの魅力を十分に発揮するのは、プレイ後に確認できるリプレイ画面だ。
ミニバンのローダウンモデルといった外観と、甲高いV10サウンドのミスマッチが何ともいえない。
また、地面に吸い付くようなコーナリングも含めて、エスパスF1の魅力をリプレイ映像で存分に楽しんでほしい。
グランツーリスモ7最大のアップデートともいわれるSPECIIIは、今回紹介したエスパスF1をはじめ、合計8車種も新たに収録されている。
また、F1も開催される名門サーキットを2つ、新たなタイヤモデル、各種コンテンツの増強や新機能の実装と、盛りだくさんの内容だ。
2022年3月のリリースから早4年近くが経ち、プレイをあまりしなくなっている方にもぜひアップデート内容を確認してほしい。
一方、いよいよ東京オートサロン2026でのRd.FINALを残すのみとなった、JEGTのグランプリシリーズと企業対抗戦に出場する選手にも少なからずアップデートが影響するかも知れない。
公式にアナウンスをされているわけではないが、ダンロップ製の新たなタイヤによって挙動が変化しているとの情報もインターネット上で散見される。
また、データロガー機能も、選手のレベルアップやより緻密なチーム戦略につながるだろう。
可視化されたデータを活かしきった選手やチームが、レースをより有利に進めるかも知れない。
いよいよ迫ってきたJEGT2025シリーズRd.FINALは、2026年1月11日(日)に東京オートサロン2026でオフラインレースとして開催される。
詳細な時間やイベント内容は、本サイトや公式Xで随時発信予定だ。
また、当日会場に来られない方は、JEGT公式YouTubeチャンネルでご覧いただきたい。
Text:渡邉 篤
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