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2025年12月4日に配信されたグランツーリスモ7のSPEC III(Ver.1.65)で追加された新車種8台のなかに、1990年代に登場した隠れた名車、三菱 FTOが含まれていた。
FFの2ドアクーペでありながら、搭載するのは2.0リッターのV6エンジン。
日本車らしからぬダイナミックなスタイリングと合わせて、当時の国産車のなかで異彩を放っていた。
グランツーリスモの生みの親、山内 一典氏もかつて所有していたFTOの魅力をたっぷりと紹介しよう。
1994年10月、三菱は個性あふれるスペシャルティカーを発売した。
大胆な曲線でデザインされた大型ボディに、2.0リッターV6エンジンを搭載。
ここまで聞くとFRスポーツカーに聞こえるが、なんと採用した駆動方式はFFだったのだ。
RVブームの真っ只中に投入された、三菱の意欲モデルを詳しくみていこう。
車名のFTOは「Fresh Touring Origination」の頭文字で、若々しいツーリングカーの創造という意味が込められている。
ワイド&ローの迫力あるボディに曲線を大胆に組み合わた、個性あふれるスタイリングが特徴だ。
そして、ミニバンやRVが売れ筋の中心になりつつあった発売初年度には、1994-1995日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得。
受賞を記念して、ダンデライオンイエローの特別仕様車を台数限定で発売するなど勢いに乗ったかに見えた。
しかし、販売面で時代の流れには逆らえず、発売から約6年後の2000年に生産終了。
一定数の評価はあったものの、総生産台数はわずか38,028台にとどまる。
RVカーブームのなかで存在感を示したモデルだったが、わずか一世代で姿を消すこととなった。
FTOの魅力は、日本車らしからぬデザインだけではない。
排気量こそFFレイアウト相応の2.0リッターながら、V6エンジンの搭載は異彩を放っていた。
6A12型と呼ばれる24バルブ2.0リッターV6 DOHCエンジンには、三菱自慢の可変バルブ機構のMIVECが組み合わさたモデルで200psを発生。(GPバージョンR)
20.4kg-mに達する最大トルクもあって、大柄なボディでも愚鈍さを感じさせなかった。
なお、発売当初のMIVEC非搭載モデルでも、最大出力は170psを発揮。(マイナーチェンジ後は180ps)
30psも積み上げられるMIVEC機構の素晴らしさもさることながら、6A12型自体がもつポテンシャルも高かったことがうかがえる。
グランツーリスモ7に種録されたGPバージョンRは、スポーツサスペンション、LSD、前後ストラットタワーバーを標準装備し、200psエンジンのポテンシャルを十分に引き出せるスポーツモデルだ。
FFらしい軽快な走りと、V6エンジンが絞り出すパワー感を存分に楽しめる仕様だといえるだろう。
FTOには、さらに先進的な目玉機能があった。
INVECS-IIと名づけられたATは、国産車で初めてマニュアルモードが備えられていた。
Dレンジからレバーを左に倒すとスポーツモードに入り、シーケンシャルミッションのようにノブを前後させてギアを選ぶ。
ポルシェのティプトロニックと同じく、ATでありながら変速をドライバーに委ねる設計だ。
現在では多くのAT車が同じような機能を備えているが、AT全盛になりつつあるなかでMTライクに操作できる点は高く評価された。
グランツーリスモ7に収録された三菱 FTOは、もっとも運動性能の高いGP Version R ’97。
MIVEC搭載の力強さを、ゲーム内でも存分に感じられるはずだ。
グランツーリスモとFTOについては、実に興味深い関係がある。
プロデューサーの山内 一典氏が、かつて所有していた一台なのだ。
一般的なレースではあまり使われないロードカーだが、山内氏の思い入れを、グランツーリスモでの楽しみ方とあわせて紹介しよう。
グランツーリスモ7でFTOを走らせる前に、知っておきたい事実がある。
シリーズを手がける山内 一典氏は、かつてFTOのオーナーだったことだ。
出演したテレビ番組の公式サイトでは、同氏28歳の1995年に愛車としてFTOが掲載されている。
初代グランツーリスモの発売は1997年なので、所有はシリーズ誕生より前ということだ。
当然初代グランツーリスモにFTOも収録されたわけだが、山内氏はFTOは収録車種のなかでもヒーローカーの一つという位置付けだったことを語っている。
初代グランツーリスモでは、レーシングモディファイ版まで用意されていたという。
自分が触れた車が収録されることに喜びも感じていたようで、思いれがあったことがうかがえる。
それから30年近く、特別な1台が現代のグラフィックス技術でグランツーリスモ7に戻ってきた。
同氏がこだわったであろう、実車の再現性を感じながら楽しんでほしい。
グランツーリスモ7には、FTOの対抗馬ともいえるホンダ VTEC搭載の国産FFスポーツが揃っている。
インテグラ Type R (DC2) ’95と’98、シビック Type R (EK9) ’97と’98だ。
MIVECと同様の可変バルブ機構を搭載しているが、エンジン自体は直列4気筒でFTOのV6とは性格が異なる。
また、現代車だと、スズキ SwiftもFFスポーツの代表格だろう。
3気筒のダウンサイジングターボも含めて、乗り比べてみるとさらに楽しみが増すはずだ。
当時の先進技術と大胆な魅力がつまったFTOだが、販売台数が伸びなかったこと、わずか1世代で途絶えたことから現在ではあまり実車に乗る機会はない。
しかし、グランツーリスモ7なら、いつでも好きなコースで走らせられる。
エアロやホイールといった外装パーツをモディファイできるのも、バーチャルの世界ならではだ。
ちなみに、FTOは、モータースポーツの世界でも足跡を残している。
1999年には全日本GT選手権のGT300クラスに参戦し、開幕戦でクラス2位表彰台、シリーズ順位も6位と大健闘。
レースでは不利といわれるFFレイアウトながら、ポテンシャルの高さを証明して見せた。
三菱が作った異色のFTOは、隠れた名車といえる一台だ。
ぜひグランツーリスモ7で、改めて当時の技術とこだわりを感じてもらいたい。
2026年のJEGTは、11月28‐29日に、誕生後である神戸でオフライン大会を実施する。
グランプリシリーズへ昇格を目指すチャレンジリーグは、雌雄を決する最終戦。
グランプリシリーズは、シリーズ後半戦のスタートとなるRd.4とRd.5の連戦となる。
どちらもオフラインという場で、ぜひ選手達の息遣いを間近で感じてみてはいかがだろうか。
Text:渡邉 篤
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