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ニュースJEGT2025シリーズの開幕戦の舞台となったのは、スーパーフォーミュラが開催される富士スピードウェイ。
オフラインレースは毎年東京オートサロンで行われているが、生粋のレースファンが集まるサーキットでの開催は新鮮だった。
レース内容はRd.1、Rd.2のレースレポートに譲るとして、来場できなかった方のために会場の模様を詳しく紹介しよう。
JEGTの特設会場が設けられたスーパーフォーミュラには、7/19と7/20の2日間合わせて5万人以上の観客が訪れた。
日本最高峰のフォーミュラカーレースだけあって、注目度の高さがうかがえる。
さまざまなカテゴリのクルマファンの集まる東京オートサロンと違い、今回の来場者は基本的にレースファンのみ。
いつもとは違ったJEGT会場の様子をまずはお伝えしよう。
富士スピードウェイに用意された開幕戦の会場は、屋根部分のみがテントになっているオープンエアの専用会場。
本コースやパドックからSF23のエンジン音がダイレクトに響き、まさにリアルとバーチャルの融合といった臨場感あふれるシチュエーションだ。
また、気温30度前後という暑さのなかではあったが、外の風を感じながらのスポーツ観戦はやはり気分が盛り上がる。
JEGTのみならずeMS(eモータースポーツ)の大会は空調の効いた空間で開催されることが多いだけに、汗を拭いながらステアリングを握る選手たちの表情は新鮮だった。
スーパーフォーミュラの富士スピードウェイ戦といえば、国内のレースファンから特に注目される大きなレースイベントの1つ。
集まるファンは、本物のレースを見慣れた玄人層ばかりだ。
スーパーフォーミュラを見に来た人の厳しい目が向けられるという、選手たちにとってはアウェイともいえる環境。
開幕戦かつオフラインレースといういつも以上の緊張感のあるなか、eMSやJEGTの魅力を伝える走りが求められる。
しかし、実際にレースが始まると、会場は大盛り上がり。
僅差で決着するハイパースプリントや、決勝レースのオーバーテイクシーンで拍手や歓声が巻き起こっていた。
さらに、スーパーフォーミュラの贔屓チームのグッズを身に纏ったファンの方々が集まる会場内は、まさにリアルレースの雰囲気が漂う。
選ばれたドライバーのみがステアリングを握るという点では、JEGTのグランプリシリーズも同様。
実車レースに近い空気感のなか、選手たちはいつもとは違う貴重な経験を積んだはずだ。
熱いレースを余すことなく伝える実況陣、選手の素顔に迫るトークイベントと、レースそのもの以外でもJEGT会場は盛り上がっていた。
また、今年からスペシャルアドバイザーに就任した山中 智瑛氏の手による、巧妙なレギュレーションもレースを盛り上げた一因だっただろう。
レース以外の角度から、開幕戦会場の模様をご紹介しよう。
実況を務めたのは、JEGTでもおなじみの鈴木 学氏。
数多くのモータースポーツイベントの司会や実況を務めているだけに、富士スピードウェイに響き渡るマナPの声はやはりしっくりくる。
また、司会のAlee氏とアシスタントの沢すみれさんも昨年同様。
そして、選手心理やグランツーリスモを知り尽くした山中 智瑛氏が、JEGTスペシャルアドバイザーとして解説席に座る。
さらに、リアルレースファンも喜ぶ豪華ゲスト陣も注目を集めた。
Rd.1のゲストは、MAX ORIDOこと織戸 学氏。
ドリフト出身のレーシングドライバーで、スーパーGT(当時はJGTC)といった市販車ベースのレースで活躍した。
そして、Rd.2のゲストは、現役レーシングドライバーの木村 偉織選手。
サポートレースで2位表彰台を獲得して、シャンパンファイトを終えたばかりの状態で駆けつけてくれた。
Rd.1、Rd.2それぞれで、鈴木氏が司会を務めて選手たちとのトークイベントも開催された。
初日は、佐々木 唯人選手(#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE)と杉守 翔平選手(#8 ARTA)、さらに今年からスペシャルアドバイザーに就任した山中 智瑛氏を交えてeMS選手の本音に迫る。
オフラインは緊張するとしながらも、やはり観客のいるレースのほうが燃えると3名が口をそろえた。
2日目の7/20には、ゲスト解説を務めた木村 偉織選手も参加。
川上 奏選手(#1 QT DIG∞)、佐々木 拓眞選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)を迎えてトップチームの本音を聞かせてくれた。
「人生で2番目くらいにショックで落ち込んだ」とRd.1を振り返る佐々木選手や、「別の場所にいるメンバーがシミュレーションをして伝えてくれる」と戦略を立てる過程を語る川上選手。
普段は聞けない話で、トークショーは大いに盛り上がった。
開幕戦のレギュレーションの多くを手掛けたのは、スペシャルアドバイザーの山中氏。
JEGT創設以前からグランツーリスモ界で活躍し、裏の裏まで知っている同氏の考えるレギュレーションは絶妙なポイントをついたものばかり。
もともと実力の拮抗するグランプリシリーズだけに、見ていて手に汗握るエキサイティングな戦いを演出した。
一方で、選手たちは限られた時間でレギュレーションへの対応が求められるため、勝つための戦略を立てるのは容易ではない。
常勝チームでも、薄氷を踏む思いで各セクションに臨んだはずだ。
鳴り響く甲高いエキゾーストノートや目の前を駆け抜けるマシンの迫力という点で、eMSはリアルレースに叶わない。
しかし、ステアリングを握る選手の表情や息遣い、戦略を話し合うチームの状況を間近で見られるのはeMSの大きな魅力だろう。
さらに、コース上のどこを走っていてもマシンがさまざまな角度から映し出されるため、手に汗握るバトルシーンを見逃すといったこともない。
正確無比なステアリングさばきや、わずかな隙を突くオーバーテイクに会場からは拍手や完成が巻き起こっていた。
リアルかバーチャルかといった垣根なく、レースカテゴリの1つとして魅力を感じてもらえたのではないだろうか。
公式戦としてのオフラインレースは2026年1月の最終戦を残すのみだが、JEGTではさまざまなオフラインイベントをおこなっている。
お近くで開催される機会があれば、ぜひ参加してeMSの魅力を直接感じていただきたい。
JEGT2025シリーズは、9月6日(土)にチャンレンジリーグと企業対抗戦が開幕を迎える。
また、翌9月7日(日)にはグランプリシリーズのRd.3が開催され、見逃せないレースが続く。
本サイトや公式Xで詳細情報チェックして、JEGTの熱いレースをお楽しみいただきたい。
Text:渡邉 篤
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